桜美子鬼女伝説_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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桜美子鬼女伝説

15-06-14 11:21

【桜美子鬼女伝説】
その昔、信州のとある山間の村に訳あって京の都から越して来た、‘桜美子(さくらみこ)‘と言う名の才色兼備の女性がいた。
かつての都での栄華な暮らしぶりとは違い、村での質素で地味な暮らしぶりに彼女は中々馴染めずにいた。

しかし、村人たちの温かな心根に触れていくにつれ、いつしか彼女の曇った心の靄も晴れ、村の子供たちに京の 文物を語り教えたり、年寄り連中に都の様子を聞かせてあげたりして交流を持っていった・・・
その村の豪農のお金持ちで正吉(まさきち)と言う名の鷲鼻に一重の細い目、薄い唇からは我が侭で強情そうな性質を垣間見えそうな一人の男がいた。
正吉はいたく桜美子を気に入り、彼女が嫌がるのを権力に物を言わせ、強引に嫁として娶った。
正吉は我が侭で、暴力的な男だった為何かにつけて桜美子をいびり、時に、暴力を振るって彼女を悲しみのどん底に追いやり、彼女は精神的に日々辛い想いをさせられていた。
蒼白い満月が漆黒の闇に妖しく浮かぶある夜、酒を浴びるほど飲んだ正吉は縫い物をしていた桜美子の背後に忍び寄り、その枯れ枝の様な
指先を着物の裾を割って太腿に這わせていった。
正吉のねっとりとした指先での愛撫に背筋に冷たい悪寒を感じた桜美子は、その身をくねらせて何とか正吉の淫行を阻止しようと試みた。
「やめて下さいましっ!・・・い・・・いやぁぁ・・・」
そんな桜美子の懇願など意に介さず正吉は口元に淫靡な笑みを浮かべながら桜美子の真珠の様な淫核や、ぽってりとした秘肉を弄んでいった・・・
頭ではおぞましい程の悪寒を感じながらも如何せん、その熟した女体の根幹から湧き上がる様な悦楽に次第に陶酔させられていった。
「どうなんじゃぁ?桜美子よ・・・口では嫌だのゆうとるが、どうじゃ?この濡れ具合は・・・うん?このヌルヌルはどうしたんじゃ?」
そういやらしく耳元で囁きながらてらてらと濡れそぼった指先を桜美子の両目の前に突き出し、その指先を桜美子の柔らかき唇を押し退け咥内に無理やり
差し込んだ・・・・
「むぅぅ・・・・んんっ・・・」
舌先にほんのりとした苦味としょっぱさがじんわりと拡がった。
と同時に屈辱感からか、彼女の切れ長の眼の端から小さな滴がポロリと零れ落ちた・・・・

そんな姿に狂おしい程の情愛を感じた正吉は桜美子の朱色の着物を強引に剥ぎ取り、脂ぎったその醜い身体で覆いかぶさった。
嫌がる桜美子の淫裂のその狭い入り口から猛った男根を一気に奥深くまで突き入れた。
「あうっ・・・いやぁぁーーどうかぁ・・・お許しをっ!・・・・」
必死に感じまいと眉間に深い皺を寄せ、野獣と化した正吉からの辱めに耐える桜美子 ――
それでも膣奥を何度も擦りつけられていく内に徐々に淡く艶かしい吐息が彼女の愛らしい口唇から漏れ出していった・・・
「うぅぅ・・・いいぞよっ!おまんの下の口はほんまこといやらしく、ええ塩梅に締め付けてくるぞいっ・・・あぁぁ・・・イキそうじゃっ・・・うっ・・・おおうぅぅーー!!」
正吉はその瞬間を迎え、桜美子の膣奥にたっぷりと白濁した大量の淫汁を射精させたのであった。
桜美子の腹上にぐったり突っ伏した正吉を跳ね除け、桜美子は傍らに無残に取り残された朱色の着物をさっと羽織、裸足のまま表に飛び出して行った。
満月の薄明かりの下、桜美子は泣きながらも必死に近くの小高い山を目指し駆け上って行った・・・・
森閑とした山の中で木々たちの葉擦れのざわざわとした不気味な妖音だけが辺りに響き渡っていた。
桜美子は、夫から被る惨めな扱いに疲弊し、時に酷く体に痣などを付けられ時などは今宵の様に、裸足のまま表に飛び出し、近くの小高い山に咲く一本桜の樹の下へと逃げ込み、腰を下ろし肌蹴た着物を着直しながら思いっきり誰にも邪魔されずに涙が枯れるまで泣いて時をやり過していたのであった。
誰がそこにその桜の樹を植えたのか、彼女は知らなかったが、彼女にとってはいつしかその桜は心の支えでもあり、傷つき哀しみに満ちた心を癒してくれるとても大切なかけがえの無いものとなっていった ―――

桜美子は自分の置かれている辛い状況や荒んだ気持ちなどを懇々と桜に向かって語っていた・・・・
桜美子は満開の桜の花を愛でるのが好きだった・・・・心底美しく自分も桜になれたなら・・・・そんな風に畏敬や憧憬の念を持って桜を見つめることも多かった。
いつしかそんな哀れで不憫な桜美子の事に同情し、自分をこんなにも慕ってくれる人間の女性、桜美子に一本桜は恋心を抱くようになった・・・・・
桜はいつも悲しそうにこう呟いていた。
『桜美子が愛しいのぅ・・・人の姿となって、恋仲になれればどんなによい事か・・・・』
* * *

ある夕刻迫る頃、夕餉の準備時に桜美子が誤って茶碗を割ってしまった事に激高した正吉はいつも以上に彼女を叱責し、火箸で彼女の真っ白な腕に火傷痕をつけてしまった。
そんな酷い仕打ちに彼女は耐えられなくなり、取る物も取らずに裸足のまま外に飛び出し、傷を負わされた左腕を押さえながらあの心の救いである一本桜の元へと必死に駆け出し、満月煌く夜空の下、妖しくも華麗な艶姿をした夜桜にヒッシとしがみつき、声を出し肩を震わせて泣いていた・・・・
その時、背後から男の声がした。徐に振り返ると、そこには絣の着物姿の一人の若い男が優しい眼差しを湛え、凛とした姿で立っていた。
「もし・・・・娘さん、何をそんなに悲しくて泣いてるんです?良かったら話を聞かせておくれないか・・・」
「ええ・・・・実は・・・・」
桜美子は優しげな面持ちのその若い男に自分が今まで受けてきた悲惨な仕打ちなどを切々と語って聞かせた。
暫くの間、神妙な面持ちで彼女の話を聞いていたその男が静かに口を開いた。
「・・・・・・わしは天涯孤独の身で今独り暮らしをしておる。そんな酷い仕打ちをされて嘆き悲しむお前さんを見て見ぬ振りはできん・・・・もしお前さんさえ良ければわしの家に来て一緒に暮らさぬか。」
「ありがとうございます。優しいあなた様の慈悲深い申し出を受けとうございます・・・」
重三は、火傷を負わされた桜美子の痛々しい腕の火傷痕にそっと唇を寄せ、口付けをした・・・・
すると不思議な事に、今までのズキズキした火傷の痛みが綺麗に消し去られていったのであった。
そうして二人は質素だが、お互いを慈しみながら暮らし始めていっ
た。決して豊かでは無い、粗末な暮らしぶりだったが、桜美子はただ辛いだけの正吉との愛の無い暮らしよりは遥かに今の暮らしが身に沁みて幸せだった――――
男は名を‘重三(しげぞう)‘と言った。彼は身の上話や過去の話をしたがらずそれ故、桜美子も執拗に聞く事は無かったのである。
共に暮らし始めて半年が経とうとしていたある寒い粉雪舞う夜、蒔きを山に採りに行ったまま中々戻らない重三を心配して桜美子は着物の上に桜色の羽織りを纏い、重三を探しに漆黒の闇夜の山にたった一人で入って行った・・・・
「しげぞうさーーん!どこにおられるんですーー・・・」
闇夜に紅色の妖しげな月が桜美子の心細さをより一層増しているかの様であった・・・・・・
ふと予感めいたものが閃き、彼女は滝壺に向かって早足で歩き始めた。
(天の神様どうかお願いです!重三さんをお助けくださいまし!どうか・・・)

彼女は心の中で必死に重三の無事を祈った。もし・・・もしも重三が死んでしまったら自分も生きてはいけない・・・・そう彼女は固く心に誓いを立てていた。
ふと滝壺の脇の草むらに人影を見た気がして桜美子は駆け寄ってみた。
そこには背中を大きく斬られ、息も絶え絶えで横たわる愛する重三の痛ましい姿があった・・・・・
「し・・・しげぞうさん!しっかりして!・・・お願いだから、わたくし一人残して死なないで・・・いったい誰がこんな酷い真似を・・・・」
まさに虫の息の重三は最期の力を振り絞って愛しい人に言葉を紡いだ。
「桜美子・・・・無念だっ!・・・お前一人残してこの世を去るのは・・・心底お前を好いとった・・・わしは人間なんかじゃ無いんだ・・・あの一本桜の化身なんだ・・・今まで話せのうてすまん。わしを殺ったのはお前さんの亭主、正吉の手下じゃ・・・・姦通をした天罰が下ったのかのぅ・・・お前さんと祝言を挙げたかったのぅ・・・」
桜美子の腕の中で、そう哀しげにか弱く呟いた重三はゴボっと大量の血を吐いた後、静かに息を引き取った――――
「しげぞうさーーん!いややっ!・・・わたくし一人を残して逝ってしまわんでおくれなぁ・・・・ううぅぅ・・・」

桜美子の吐き出す様な泣き声が静かな山間にいつまでも木霊していた・・・・
「正吉が重三さんをこんな酷い目に・・・・許さない!!何があっても絶対に許す事なんてできやしない!」
彼女の激しい怒りが雷鳴を呼び、やがて激しい雨が彼女の上に降り注ぎ彼女はズブ濡れのまま
その場に立ち尽くし、恨めしそうに天を仰いだ。
その時だった!蒼き稲妻の閃光が走り、雷が彼女を直撃した!
桜美子はその場にバタンっ!と崩れていった・・・・
* * *


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