教師と教え子〜はじまり〜_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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教師と教え子〜はじまり〜

15-06-14 11:47

うちの女子校には、妙な噂がある。どうせ嘘だけど、実際に見たという人がいるらしい。寄宿生が先輩から聞いてきたのを、私達通学生はまた聞きするだけだ。

うちの女子校はミッション系スクールで、人里離れた丘の上に建っている。動物とシスターと共生しているようなこの学校が、私は正直好きじゃない。内部推薦で、姉妹校の良い女子大学に行けるから。それが理由で、私は親に中学受験をさせられたのだ。みんなそういう理由で通っている。先生に目をつけられないように、推薦してもらえるように。それだけだ。
一つだけ良かったのは、通学生だってこと。寄宿なんてたまったもんじゃない。

本題から逸れてしまった。あぁ、そう、噂の話。一つは、高校の先輩が、職員室の外を通った時、中をチラリと見ると、下川先生と安永先生が抱き合ってたというものだ。二人は私達が内部推薦を目指す大学の卒業生だ。つまり、どちらも女ということ。女同士が抱き合うなんて、珍しくないのかもしれない。でも、あの二人は例外だ。中学生の私でもわかる。あの二人は、どう見てもそういうタイプじゃない。

話によれば、どっちかが椅子に座ってて、どっちかが床に膝をついて、座ってる方の膝に腕を置いてじゃれ合ったり抱き合ったりしていたらしい。
そしてその先輩の言う事には、半年に1回回ってくる週番の見回りでは、二人は必ずペアなのだと言う。
私も確かめてみた。職員室前の黒板。週番の先生、という文字の下には、中学 下川先生 高校 安永先生 と、確かにそう書いてあった。

見回る校舎が違うのに、週番を一緒にやる意味なんてあるんだろうか。私にはわからない。一緒に帰るのだろうか。いや、職員名簿で見た。家は全然近くないはずだ。それでなければ、校舎で何かしているんだ。…何を?

ここから先はわからない。すべてが闇の中だ。ちなみに、下川先生は、教師になって6、7年と言った。この学校で働き始めたのは、大学卒業後すぐに決まっている。姉妹校を出ているのだから。ということは、留学などをしていなければ22+6、7で28、9歳ということだ。
安永先生は長谷川先生と同い年だと聞いた。サバサバしている長谷川先生は、私達に自分の年齢をさらっと公開していた。ということは、37歳ということだ。一回り近く違うことになる。
ひょっとすると、教師と教え子の関係だったのかもしれない。

ないことじゃないだろう。現に私は、今14歳で、23、4歳の先生を何人か知っている。まして私立は、勤め始めたら長い。公立と違って、異動がほとんどない。私の予想は、案外当たっているかもしれない。

教師と教え子。もし私なら、どの先生を選ぶのだろう。新任は男ばかりだった。しかも女子校の男の教師なんて、不細工ばかりだ。まず考えられない。
なら、女だったら…?

美人、と言えば、中一の担任の先生2人だろうか。私も去年お世話になった先生だ。でも、どうしてかあまりいい話を聞かない。先輩達には嫌われているようだ。私はどっちも嫌いじゃないんだけど。数学の先生もなかなか美人だけど、ちょっと気が強そうで、私は苦手だ。教えるのは上手いと思うが。

あとは取り立てて美人だとは思えない。やっぱり私は、先生となんて考えられない。どうせ女同士なら、私は先輩がいい。ある高3の先輩だ。私の中一からの憧れ、沙貴さんがいい。美人だし、少し細いけどスタイルもいいと思う。制服も着崩さないし、何より優しい。私にとても良くしてくれる。
でも沙貴さんにはまた、かなりショックな噂がある。沙貴さんはビアンで、しかも野村春美先生が好きという噂だ。

野村先生という先生を私はよく知らない。高校の先生だからだ。寄宿生によると、いい先生らしい。のむ、とかはるみ、と呼ばれていて、とても親しまれているという。沙貴さんはやはり、その人柄の良さに惹かれているのだろうか…。

その噂を知ってから、私は顔もろくに知らない野村先生が大嫌いになった。


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