「公園で何してたんだ?」父さんに聞かれても答えられない。「月を見るだなんて言って」母さんは信用せずに僕を睨んでいる。「他の人たちはどうしたの?」「家の外にいる」「早く帰ってもらいなさい」そんな事は出来ないので黙っていたら、「雄一!」と、父さんが大声を上げた。「おまえ、まさか・・・」母さんの厳しい疑いの目に僕は思わず目を逸らし、怖い気持ちをこらえた。その時父さんが、「あいつら・・・」と呟いて立ち上がり、部屋を出ていった為、僕は体を強張らせてその後を追った。母屋から少し離れた所で父さんが三人を前にして、「あんたら、うちの息子に何やったんだっ!?昨日も今日も」と責めた。三人は戸惑っている。「加奈も駄目じゃないか」加奈さんは自分たちが叱られているのが納得出来!
い様子だが、芳美が「すみません」と謝ったのに続いて智子も「すみません」と頭を下げた。「いい年して。亭主がおるんだろ?もう帰ってくれ」芳美が僕を見たので透かさず父さんに、「もう遅いから泊まっていけばいいよ」と言うと、「何言っとるんだ?」と怒られた。「こんな時間じゃないか」僕も負けていない。そこへ母さんが現れ、「どうせ息子をたぶらかしたんだろ。まともじゃないんだから」と女たちに向かって声を上げた。「違うっ!」「おまえは騙されとるんだよ」「この人たちは悪くない」「早く目を覚ませ」父さんも強気だ。「加奈っ!おまえも二十年経っても変わらないんだな」妹が高校時代のレズ仲間とよりを戻した上に三人で息子を巻き込んだとして許せないようだ。加奈さんも姉を睨み返した。らち!
が明かない為、父さんが「とにかく、もう遅!
から早く寝ろ」と僕に言って居間へ戻った。「奥さん、私たちが悪かったんです。もう帰ります。でも、この人は車じゃないので・・・」芳美が智子を指して言った。「家はどこ?」母さんに冷たく聞かれ、智子は「豊橋です」と答えた。「仕方が無いねえ・・・」そう呟いて母さんは居間に戻った。さすがにタクシーで帰ろとまでは言えず、結局、芳美だけが車で帰る事になり、加奈さんと智子はここで一夜を明かす事になった。
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