牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 12:29
「あのさ・・・お前に相談があるんだけど・・・」 職場の同期で、悪友とも言える早野からの電話を受けた。
「どうしたんだ?金ならねぇぞ。」 「ばかっ!金なんかじゃねぇよ。木下(俺)じゃなきゃ、相談出来ねぇんだ・・・」 「あー・・・分かったよ。じゃ18時に・・・」 俺は時間と場所を設定して、電話を切った。
俺は本社の経理部で課長をしている40歳。 早野は営業所の所長で、俺と同じ40歳。 俺は結婚経験がなく、早野は×1。 早野の営業所と本社は近く、時々飲みに行ったりはしてたが、そんなに切羽詰った感じで相談なんて、早野らしくないな・・・ 一抹の不安を覚えながらも、俺は待ち合わせの場所に向った。
「なんだよ、相談って?」 待ち合わせ場所のすぐ側にあった、今まで行ったことの無い居酒屋の個室で、俺と早野は向き合ってた。
「うん・・・あのな。俺・・・結婚するんだ。」 「なにっ!俺が一度も結婚出来ないのに、お前は2度も?相手はどこのどいつだ?」 「いや・・・あの・・・サンシャインのアケミちゃん・・・」 「は?あのパブの?マジ?」 「うん・・・子供出来ちゃって・・・」 「アケミちゃんって、確か22歳じゃねぇか?18歳下だぞ。お前、そりゃ犯罪だぞ!」 「いや・・・あの・・・でもさ、出来ちゃったモンは仕方ねぇだろ?」 「ってかお前、いつ口説いたんだ?いつの間にだ?」 俺は声を荒げて尋ねた。
「いや・・・あの・・・口説いたって言うか・・・なんか流れで・・・」 「ふ~ん・・・それで?22歳の奥さんに、14歳の娘?そしてすぐにまた子供が出来て?」
実は早野には、前妻との間に14歳になる娘がいて、男手一つで育てている。と言えば聞こえはいいが。 若葉ちゃんって言う娘は、「ホントに早野の娘か?」って位、しっかりとしたよく出来た子で、小学生の間は、流石に早野の母親が面倒見てたが、中学に上がると、何でも自分でやるようになった。 グレたりもせず、学校の成績もいいと聞く。 今時珍しい、本当に出来た子だ。
「実は、相談ってその事なんだ・・・」 早野は重い口を開いた。
「バカじゃねぇか!お前は!」 俺は早野を怒鳴りつけ、グラスのビールを早野にぶちまけた。 早野は俯きながら、「でも・・・本気なだ・・・」と呟いた。
早野が言った事を要約すると・・・ アケミとは結婚したい。 本気で愛してる。 アケミもまた・・・ ただアケミは、若葉ちゃんの存在を気にしている。 若葉ちゃんの母親には、なれる気がしないと。 だから、若葉ちゃんがいるなら、結婚はしないと。 「そんな女、やめちまえ!」 俺は怒鳴った。 が、早野は、「アケミと腹の子はどうなるよ?」と聞いてくる。 「んなもん・・・勝手にするだろうよ!」 「アケミはさ・・・俺がいないとダメなんだ。それに俺も・・・」 「じゃ何か?お前、若葉ちゃんをどうすんの?殺す?養女にでも出すんか?」 俺は呆れて尋ねた。 「殺せはしないけど・・・養女に・・・」 そして俺は、ビールをぶちまける事になった。
その後早野とは、喧々諤々となった。 早野のだらしなさに、俺は情けなく、そしてかなり苛立っていた。
「分かったよ、このバカ!お前は若い女と好き勝手したらいいさ。若葉ちゃんは、俺が面倒見るよ!」 「ホントか?」
早野の嬉しそうな顔を見て、俺は「しまった・・・」と思った。
「お前ならさ、安心して若葉を任せられる。良かった・・・ありがとう木下。頼んだからな。」 「いや・・・早野、ちょっと待て・・・今のは・・・」 「口が滑ったのか?取り消すのか?武士に二言か?」 「いや・・・だから・・・あの・・・」 一気に形勢逆転。
「お前から断られたらさ・・・若葉ってどうなるんだろ?どっかのエロじじいに囲われてさ・・・悲しい末路かな・・・」 って、誰のせいやねん!
「だから・・・その・・・早野さ~」 「頼む、木下!この通りだ!若葉もお前の事は慕ってる。これで皆が丸く収まるんだ。だから・・・頼む!」 拍子抜けしたって言うか・・・ 俺は早野に、返す言葉がなかった。
早野の行動は早かった。 その週の土曜日には、と言っても夕方になって、若葉ちゃんをウチに連れてきた。
「ほらっ、若葉。お前の新しいお父さんだ。ちゃんと挨拶して。」 「若葉です。お久しぶりです。いつも父がお世話になってます。あの・・・よろしくお願いします。」 って、若葉ちゃんも可哀想だ・・・
「えっと、木下。ちゃんとした父娘になるんだったら、養子縁組したがいいな。若葉は14歳だから、俺が代理人になってやるから。」 「あのな~早野・・・」 「えっと・・・ちゃんと家裁に行ってから・・・それから・・・家裁には、来週の・・・そうだな。水曜日はどうだ?」 「いや・・・だから・・・」 「水曜日だぞ!分かったか?じゃ、俺、色々と忙しくてな。式の事もあるし・・・じゃ、若葉をよろしくな。」 そう言うと、さっさと帰ってしまった。 取り残された、俺と若葉ちゃん。
「ふーーーーっ」思わず大きなため息をつく。 「あの・・・」 若葉ちゃんが口を開いた。
「あたし・・・迷惑ですよね・・・あの・・・帰りますから・・・」 「帰るって?どこに?」 「いや・・・あの・・・友達のウチとか・・・お婆ちゃんの家でも・・・」 「友達のウチに、いつまでいるの?お婆ちゃん?入院してるでしょ?」 早野の母親は認知症を発症し、今施設に入ってる事は、早野から聞いて知っている。
「でも・・・木下さん、迷惑でしょ?」 「いや・・・早野には腹立ててるけど、若葉ちゃんには罪はないから・・・」 「そうですよね・・・父には、怒って当然ですよね・・・」 「ああ」
俺は相槌を打った後、再度ため息をついた。 若葉ちゃんも同時に、大きな大きなため息をついた。 それが何だかおかしくて、二人で笑い合った後、またため息をついた。
俺は独り身だから、大きな部屋には住んでない。 2DKの安アパートを借りている。 早野がこの日に来るのは知ってたが、気乗りしなかった為、部屋は何も片付けてない。 つまり、若葉ちゃんの部屋がない。 それを言うと、「大丈夫です。あたし、気にしませんから。」って言うが、俺は気にするってば。 娘(まだ娘ではない)とは言え、年頃の娘と、同じ部屋には寝る事は出来ないだろ。
そう思い、奥の間を片付けようと思ったが・・・ パソコンはあるし、体を鍛える為のトレーニングマシンもある。 釣り竿もあるし、ゴルフバッグに野球道具も・・・ おまけに掃除をさぼってるせいで、埃まみれ・・・(汗)
「いいですよ、私・・・こっちで寝ますから」 若葉ちゃんは早々と荷物を置き、「この辺」と指さした。 ん?ちょっと待て・・・若葉ちゃん、布団は? 「へ?」って顔の若葉ちゃん。 「持って来てないですよ・・・持てる訳ないし・・・」
だよね・・・ 俺、今夜布団なしだな。 でも、とりあえずは今夜を乗り切らないとな・・・ 俺はそう思い直し、若葉ちゃんを夕食に誘った。 歓迎会と称して。
「木下さ・・・いや、お父さんですね。」 「別に、どっちでもいいよ。」 「いや、お父さんです!えっと・・・お父さん?お父さんはどうして結婚してないんです?」 「そりゃ・・・もてないから・・・」 「ウソですよ!あたしのお父さん・・・いえ・・・前のお父さんよりも、絶対・・・」
俺だってこの年齢だ。 結婚を考えた女が、今までいなかった訳ないじゃん。 でも、中学生の若葉ちゃんに、そんな話しをマジになってしたってね・・・ 「ありがと」 そう答えて、その話しを俺は締めた。
その夜は、外食と言ってもファミレスで。 俺、ファミレスなんか殆ど行った事がない。 もしも結婚してて、若葉ちゃんみたいな娘がいたら、もっと行ってるんだろうな・・・ でも結婚する前に、娘が先に出来てしまったよ。 そう思うと、不思議と笑えてきた。
夕食後、家に帰って風呂を沸かす。 若葉ちゃんに勧めると、「スミマセン・・・」と先に入る。 やがて上がった若葉ちゃんが、台所で着替えるのだが・・・ 台所と部屋の間の戸は閉まってる。 だが、戸はすりガラスになっており、裸体の陰が・・・ 生で見るより想像力が増し、余計に興奮してしまう。 見ないように、見ないようにと心がけるが、気にすると余計に。
「お父さん、どうぞ・・・」と若葉ちゃんが入って来たが、恥ずかしくて顔を見れない。 参ったな・・・ 風呂に入ると、軽く勃起していた(汗)
若葉ちゃんに布団を与え、俺はコタツで寝る事にした。 だが夜中に、寒くてくしゃみが出る。 すると若葉ちゃんが起きてきて、俺に布団をかける。 いい子だ・・・ 「ありがと・・・でも、若葉ちゃん、寒いだろ?」 「いえ・・・」 「眠れない?」 「はい・・・枕が変わると・・・」 「だよね。」 「あたしも、ここで寝ていいですか?」 「えっ?」 「ダメです?」 だが若葉ちゃんは、俺が返事をする前に、俺の横に潜り込んできた。
「あったか~い・・・」 若葉ちゃんは、俺に身を寄せてきた。 俺・・・恥ずかしながら・・・鼓動が高鳴っていた。 だが若葉ちゃんが、「ふぇっ・・・ふぇっ・・・」と、突然すすり泣き出した。 無理もない・・・ 父親から、捨てられた子だから。 俺は思わず、若葉ちゃんの細い肩を抱き寄せた。 若葉ちゃんは俺の胸に顔を埋め、尚も泣き続けた。 なき疲れたか、程なく若葉ちゃんは寝息をたてはじめた。 だが俺は、一睡も出来ぬまま朝を迎えた。
「明日、やっぱ早野に話して・・・若葉ちゃんはやっぱり引き取れない。」 俺はそう決めていた。
空が白み始めたのは気付いてたが、いつの間にか俺も寝ていた。 気付いた時、若葉ちゃんはまだ寝ていた。 俺の腕を枕にし、俺の胸に顔を埋めたまま・・・ 足を俺に絡み付け、まるで恋人のそれのように。 時計を見ると、10時を少し回っていた。 俺が起きたのに気付いたか、若葉ちゃんも目を覚ました。 顔は俺の胸の中のまま、顔だけを上げて、「おはようございます」と言った。 俺が「おはよう」と返すと、「今・・・何時ですか?」と尋ねてきた。 「10時を・・・少し回ってるね。」 「えっ?」 若葉ちゃんが顔を上げる。 「た、大変・・・ご飯、すぐ作りますね。」 体を起こそうとするが、狭いコタツに入ってる為、なかなか起き上がれない。 「いいよ!いい・・・俺、朝飯食わない人だから。それに・・・慣れぬ環境で、あまり寝れてないでしょ?ゆっくりしてていいよ。」 「そ・・・そうですか?」 若葉ちゃんはそう言うと、また俺の腕を枕にし、足も絡めてきた。 おいおい・・・
「あの・・・お父さんともですね・・・一緒に寝た事なくて・・・」 「お父さん、あたしの事放ったらかしで・・・」 「14歳で、何だか・・・子供みたいですよね?でも・・・ホント言うと・・・」 「だから昨夜、ちょっとドキドキしたけど、ちょっと甘えてみようかなって・・・」 「お父さんとは、なんだかうまくやっていけそうです。甘えん坊の娘ですけど、よろしくお願いします。」
俺は言葉がなかった。 だが若葉ちゃんは、尚も俺にぎゅっと抱きつくと、こう続けた。
「もうあたしを捨てないで・・・お母さんも、お父さんも・・・だからもう、あたしを捨てないで・・・」
そう言うと、また泣き出した。 俺は昨夜の決意をきっぱり忘れる事にした。
昼頃に起き出して、とりあえず奥の間を片付ける事にした。 「ここは若葉ちゃんの部屋にするから・・・そうだな。箪笥と机を揃えなきゃね。」 「机ですか?」 「うん・・・学生は、きちんと勉強しなきゃ。」 「コタツでもいいですけど・・・」 「だめだめ!机じゃなきゃ、身が入らない!」 「は~い」 「それから・・・ベッドもいるな。パイプベッドじゃ・・・ダメ?」 「ベッドは・・・要りません!」 「ん?布団を上げ下ろしするの?」 「いえ、そうじゃなくて・・・お父さんと、一緒に寝ちゃダメですか?」 「はぁ?」 「ダメ・・・ですか?」
俺はどうも、若葉ちゃんの上目遣いに弱いようだ。 片付けが済んで、箪笥と机を買いに行った。 かなりの出費だったが、可愛い娘の為だ、仕方が無い。 それから・・・ やはりベッドを買う事にした。 パイプベッドではなく、ちゃんとしたセミダブルを。 それに合わせ、布団も購入。 やっぱ毎晩一緒に寝るわけにはね・・・ 「たまにならいいから」と言うと、若葉ちゃんは不服そうだったが、「は~い・・・」と頷いた。 本当に、可愛い子だと思う。
養子縁組が済むまで、若葉ちゃんを前の中学まで送るのが日課となった。 新学期までは、前の中学に通わせようと思ったから。 「縁組は春休みまで待ってやれ」と、早野を説得した。 突然転校とか、突然名前が変わるとかは、いくら何でも可哀想だ。 若葉ちゃんの日課は、「いいよ」と言うのに、炊事洗濯をきちんとこなした。 どんなに遅く帰っても、いつも起きて待っていた。(勉強しながらね) いい奥さんになると思う。 そして春休み・・・ 晴れて若葉ちゃんは、「木下若葉」となった。 転校の手続きも無事に済んだ。 若葉ちゃんは、本当に成績優秀だった。 公立ならば、この辺の高校はどこでも受かるって感じ。 だが当の若葉ちゃん、俺に気遣って、中学卒業したら働くつもりだったらしい。 「娘がね・・・親に気を使うもんじゃない!娘なんだから甘えなさい!」 そう言うと、若葉ちゃんは目にいっぱい涙を溜め、「ありがとう」と抱きついてきた。 正直ね・・・いい父娘関係を築けてると、俺は感じてた。 ちと・・・少しだけね・・・ドキドキするが・・・
<続く>
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