狂女141_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女141

15-06-20 08:46

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ

それで、犯人と会えるかどうか叔父さんに思い切って聞いた。
叔父さんは、「会ってどうするんだ?仕返しをするのか?」と聞き返したが、「そんな事はしないよ。ただ、会って色々聞きたいんだ」と答えると、僕の顔をじっと見てから、「まあ、いいけどな」と承知してくれた。

叔父さんとその男はこれまでに【黒い蝶】のナイト・クラブ室だけで数回、お互いに白虎と魔神というニックネームで呼び合っては顔を合わせたという。
本名を知られたくないのはやはりどちらも後ろめたい気持ちがあって、この会を通してだけの仲間という一線を越えたくないからに違いない。
そしてその方が同好の仲間意識が働いて親しく語り合えるのだという。
当然魔神は、相手の白虎が、その昔自分が強姦した娘の兄だとは気付いておらず、何回も顔を合わせて親しくなる内に酒の勢いもあってつい、若かりし頃の自分の犯行を口にしてしまったという。
初めは相手の魔神を許せなかった勝叔父さんも、ここの特別会員になれば素人の娘を自由に出来ると教えられて悪魔めいたスケベ心が起き、目の前の男を恨めなくなったそうだ。
そもそも妹の体で散々楽しい思いが出来たのだから犯人を許すも許さないもないと思うのだが。
勿論それは僕にも言える訳だ・・・。
叔父さんと魔神とは電話もしないそうなので、その魔神と会うには【黒い蝶】のクラブ室へ度々行って運良く偶然会うしかない。
お金はもう叔父さんには頼れず、母さんの貯金を使わせてもらう事にした。
そのような日々が続いて学校は夏休みに入り、僕はほとんど毎日家に居るようになって奴隷たちとの関係をこれ以上隠し通す我慢が出来なくなっていた。
父さんはすでに僕と女たちとの関係に薄々気付いているらしいのだが、それが事実だとわかって家庭が崩壊するのが怖いのだろう、思い違いであって欲しい願望がおそらくあり、僕に一度や二度ならず女たちとの関係を問いただしたけれど、そのたびに適当にはぐらかして来た。
事実だと認めたくない父さんは僕に白状させようとはせず、険しくも陰鬱な表情で僕を見据えて離れるのだった。
それは親としての気持ちだけなのだろうか?
男としての嫉妬や羨みもあるんじゃないか?
二階の自室に籠って父さんの心の中を探ろうとしたのだが、勿論はっきりわかりはしなかった。
近所でも僕たちの家庭をめぐって変な噂が立っており、もう限界を越えていると認めざるを得なかった。
家庭が崩壊しても構わない。
いや、むしろ崩壊して父さんと離れ離れになる方を望みさえした。
学校だって辞めても良い。
迷っていた僕も覚悟を決め、ついに或る夜、全てをぶちまけてやろうと決心した。


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