牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-07-14 08:50
2ちゃんに書こうかと思ったけど、アホみたいに長くなったのでこちらに投下。 10数年前の高校時代の話し。 長い割りに内容は大したことないかも。
当時、俺は特に暗いわけでもなく、かといってクラスの中心的存在でも無いごくフツーの高校3年生で、年相応に色気づいて身だしなみなんかには気を使い始めていたものの、実際に女と話しをするのは苦手(赤面症)という奥手な高校生だった。
異性を巡る華やかな出来事には縁がなく、不満はないけど満足感には欠ける、少なくとも青春真っ盛りという生活とはかけ離れた毎日を過ごしていた。
一方、勉強面はといえば、私立で一応進学に力を入れていた学校だったから、そっちの方面はそれなりに忙しかった。
特に3年になると正規の授業の他に「補講」と呼ばれる週2回放課後に実施される受験対策の補習が始まって、補習当日は特別な用事のある生徒以外は各自が事前に選択した科目を受講することが半ば義務付けられていたりもした。
その補講で俺は英語と古典を選択していた。 大抵は主要教科である英語や数学、あるいは社会や理科の選択科目を組み合わせて受講する生徒が多く、古典を選択するっていうのは少数派だったんだけど、俺は元々古典が苦手だったことと、古典の担当教諭が実は俺が密かに憧れていたクラスの副担任の先生だったこともあって、俺は殆ど迷うことなく古典を受講科目に選んでいた。
つまり俺としては補講を通じて副担任の先生と多少なりとも親しく話せる機会があればいいなーというやや不純な動機もあったってわけなんだ。
その先生の名前をここでは一応M先生としておく。 M先生は当時おそらく25~26歳で、細身で一見すると大人しそうなお姉さん系の先生だったんだけど、実際は見た目よりもずっとハッキリとした性格で、授業中の男子生徒のH系のツッコミなんかにも動じることが無く、良く通る声と体に似合わない筆圧の強い大きな文字で板書するのが印象的な先生だった。
校内では数少ない若くて見た目の良い先生だったから、男子生徒から人気があってもおかしくなかったんだけど、当時の俺達からすると気軽に友達感覚で話しかけられるっていうタイプの先生ではなかったせいか、俺みたいに密かに憧れてるって奴はいたかもしれないけど、表向きはそれほど目立って人気があるって感じではなかった。
補講は放課後16:30くらいから行われていたと記憶している。 古典を選択する生徒は予想通りそれ程多くなくて、出席するのはたいてい7・8名。
俺としては少人数の授業で必然的にM先生と話しをする機会は増えるし、休憩時間の他愛の無い雑談なんかを通じて、今まで知らなかったM先生の性格や嗜好を知ることができたり、あるいは授業中とは少し違う素に近いM先生の表情や仕草なんかを発見することができたりして、それだけで結構な満足感を覚えていた。
当時の恋愛経験の乏しい俺からすると、憧れのM先生と仲良くなると言えばせいぜいこれぐらいが限界で、更にそこから進んでM先生とリアルな恋愛関係になるなんていうのは想像すら出来ないというのが実際のところだった。
でも、そんなありふれた日常を過ごしていた俺の心境に変化をもたらす出来事は、ある日唐突に起こったんだ。
夏休みが終わって間もない9月の中頃、その日たまたま進路のことで担任に呼び出されていた俺は、放課後誰もいなくなった教室で一人帰り支度をしていた。 西日の差し込む蒸し暑い教室で、俺が帰ろうとしたその矢先、突然M先生が教室に入ってきた。
「あれ、A君(俺)まだ帰ってなかったの?」 「はぁ、これから帰るとこ・・・ちょっと○○(担任)に呼ばれてて・・・」 「そうなんだ。で、勉強の方は順調に進んでるの?」 「んー、いまいちかなー。今も絞られたしw。それより先生はどうしたの?」 「私は放課後の見回り。いつも3年生の教室は私が見回ってるのよ。誰か悪さしてるのはいないかって。だからあなたも早く帰りなさいw」
日頃、補講で顔をあわせていることもあってか、M先生は結構気安い調子で話しを続けてきた。
「ところで志望校は決まったの?」 「うーん、まだハッキリとは・・・、やっぱり成績次第だし」 「そうかー。でも大学って入ることよりも、入った後のほうがずっと大事だからね。今よりも世界が広がるし、楽しいことも多いよ。だから今は大変でも頑張って勉強しないとね」 「それは分かってるんだけどさ・・・。ねぇ先生は大学って楽しかった?」
俺は教室でM先生と二人きりというシチュエーションにかなり胸をドキドキさせつつも、それを気取られないよう、なんとか短い言葉で会話をつなげた。
「私は楽しかったよ。勉強もしたけど、色々なところに遊びに行ったし、色々な人とも知り合えたし。だからA君もこれからきっとそういう良い経験が沢山出来ると思うよ」
俺が緊張でドモリそうになるくらいドキドキしてるっていうのに、M先生は当たり前とはいえ、いつもと口調が全く変わらない。
それにいつもそうなんだけどM先生は人と話しをする時に、殆ど視線を逸らさずに真正面から見つめてくる人なので、俺は射すくめられるような気がして余計気が動転してしまう。
「色々な人かー・・・。先生は大学の時に彼氏とかいたの?」
図らずもM先生と二人きりの状況になり、それ故の緊張感からか俺は舞い上っていて、つい普段から気になっていたM先生の男関係の質問を率直に尋ねてしまった。
今思えば何でいきなりそんなことをって思うけど、多分あの時は精神的にいっぱいいっぱいだったんだと思う。
「うーん、それは言えないなーw。そういう話しをすると○○先生に怒られちゃいそうだしw。 でも別にいたとしてもおかしくはないでしょ。悪いことじゃないんだしw」
多少驚いた表情を浮かべたものの、案の定さらっと受け流すM先生。 「でもそう言うってことはいたんだw」 と、笑いながらも少しショックな俺。
「んー、だから内緒だってw。でもA君だってこれからきっとそういう人が現れると思うよ。 それとももうそういう人いるんだっけ?ww」 「いやいや俺はそういうの全くだめだからw。俺、全然モテないしww」
別にことさら卑屈な言い方をするつもりはなかったんだけど、それまで異性に告白をしたりされたりということはおろか、そもそもさしたる恋愛経験すら無いことに日頃から引け目を感じていた俺は、ついそんなコンプレックス丸出しのセリフを口にしてしまう。
「もー、そういうことは自分で言っちゃだめでしょーw。大丈夫だって、もっと自信を持たないと」
M先生が、しょうがないわねー、みたいな口調で俺を嗜める。
「いや、自信たって俺本当にそういうのダメだしw。それに今までだってそういうの全然ないしさ」 「でも、だからってそういう風に言ってても始まらないでしょ。情け無いよ。全くw」 「いや、でも・・・」 「あのねっ」
情け無いセリフ続きになってしまった俺の言葉をM先生が強引に遮る。 さっきよりも少しだけ言葉の勢いが尖っていた。
「あのね、そういう情けないことは自分で言っちゃだめなの。物事って考え方ひとつで全然変ってくるもんだし、そんなこと言ってても良いことなんて何もないでしょ。分かってる!?」
「・・・」
「それにね、あなた自分ではそんな風に言ってるけど、私はA君はそんなに悪くないと思うよ。 確かに△△君(同じクラスのバスケ部キャプテン。こいつはモテモテ)みたいな感じとは違うけど、真面目だしちゃんと相手のことを考えてあげられる人だし・・・。いつだったか補講で古典の全集を沢山使った時も、その日私が体調が良くないって言ってたら、授業が終わっ後に何も言わずに図書室に戻しておいてくれたことがあったでしょ。ああいう心遣いってちょっとしたことでもやっぱり女の人は嬉しいもんなんだよ」
「・・・でもそういうのは当たり前のことだし」
「だからそうじゃなくて、そういうことが自然に出来るってことが大事だって言ってるの。女の人も大人になると見た目のことだけじゃなくて、男の人の全部を見て判断するようになるんだから。 私はA君は大人になったらモテるタイプだと思うよ」
今思えば、これは今ひとつ褒められていないような気もするんだけど、M先生は叱るとも諭すとも言えない口調で俺のことを励ましてくれた。 言葉の端々からM先生が真剣に言ってくれているっていうのが伝わってきたし、俺からするとそれを言ってくれたのがM先生だっていうことが何よりも嬉しかった。
この時期の俺にとって、異性に興味を持ちつつも実際には縁の無い生活をしているというのは、単純にコンプレックスというだけでなく、将来自分も人並みに彼女が出来たりすることはあるんだろうかみたいな漠然とした不安の種でもあったんだけど、M先生にそう言ってもらえたことで、自信という程では無いにせよすごく気は楽になったし、古典の全集の件も喜んでくれていたんだと思うと嬉しくて、俺はなにか居ても立ってもいられないような心持ちになった。
「わかった。じゃあもし誰も相手してくれなかったら先生に相手してもらおうかな」
俺は何を言えばよいかわからなくなってしまい、精一杯のベタな憎まれ口を叩いた後、「じゃ、帰る」と言って教室を出た。
「ちゃんと勉強しなさいよ。今はそっちの方が大事だよ!」
後ろからM先生の声が降ってくる。 その声を背中で聞きながらも、俺の頭の中ではM先生の「A君はそんなに悪くないと思うよ」という言葉がぐるぐると駆け巡っていた。
体の中でアドレナリンが噴き出すってこういうことを言うのかってぐらい体が熱くなるのを覚え、今にも走り出したくなるような衝動を押さえながら俺は家路を急いだ。
冷静になって考えてみればM先生の言葉は情け無い生徒を励ますための社交辞令だったのかもしれないし、会話そのものも取るに足らないものだったかもしれない。
でもそんな言葉であっても当時の俺にとって、舞い上るには充分すぎるインパクトだったし、何よりもこのことをきっかけに俺にとってのM先生は、単なる憧れの先生から本当に好きな一人の女性へと一気に変化していった。
恋愛経験の少ない俺にとってM先生の言葉はあまりにも刺激が強すぎて、俺はあっという間に恋に落ちてしまったんだ。
<続く>
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