和子と義弟_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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和子と義弟

15-10-07 01:48

 お彼岸に入ると田んぼのあぜ道は赤い彼岸花が一斉に咲いていつの間にか秋の気配を色濃く感じさせた。
介護状態の夫も今日のような天気の良い日は和子に車椅子を押させて家の周りを散歩するくらいが楽しみで表情も明るかった。

一方、和子は介護疲れと苦しくなるばかりの家計が重くのしかかって気分は優れなかった。
「和子どうしたんだ元気がないな」
無神経な充の言葉に和子は「何でもありません」と応えることしかできなかった。
そんな時、義弟の(求)から電話を受けた。
「モシモシ和子姉さん悪いんだけど寮に僕宛に小包が着てるんだけど、預かってくれないかな」
田中の実家から自転車でわずかなところに実弟の寮があった。
「いいわよ、寮母さんによろしく伝えてね、怪しく思われても困るから」
日頃 求には何かと力を貸してくれる義弟に快く返事を返した。
散歩を済ませると夫をベッドに寝かせ和子は自転車を漕ぎ白百合寮という求の寮に向った。

「御免下さい」
「ハーイただいま」寮の管理人は寮母らしく年増の女性が出てきた。
「田中です弟がお世話になってます」
「弟さんから聞いてますよどうぞ」和子は寮母に案内されるまま求の部屋に向った、山茶花の垣根と金木犀の木が窓越に見える部屋に案内された。
何故部屋まで案内したのだろう・・・と和子は思った。
「お預かりしている物です、なんでも田中さん会社の出張で部屋を空けるからと」
部屋は会社の物らしいパンフや雑誌が無造作に置かれゴミ箱もテッシュなどで溢れて想像した以上に汚れているように見えた。
「寮母さん、弟の部屋少し掃除しても構いませんか」和子は尋ねた。
「ええ構いませんよ、お姉さんでしたら どうぞ、私たちは部屋のお掃除まではできませんから」
そう言って鍵を和子に預けて立ち去った。
和子はまず雑誌の整理から始めた。
独身の義弟がどんな本を読んでいるかも興味があった、手に取る雑誌は多くが仕事関係であったが中には如何わしいと思われる本も数冊あった。
和子はその一冊を手に取りページを開けた
「まあいやだ・・・」
豊満な年増女性と絡む青年の写真にハッとした、求にこんな趣味があったのだろうか・・・いつも見せる爽やかな義弟とは想像できなかった。
義弟も男、こんな写真を見ながら性欲の処理をしているのだろうか・・・。
部屋の隅に置かれたゴミ箱の中のテッシュも・・・・。
和子はそのテッシュを取り出して鼻に押し当てた、クリの花に良く似た嫌な匂いが微かに感じられた。
「久しぶりだわこの匂い、もう夫とは暫らく寝ていないからかしら」
ここ数年 充との性交渉がない事に和子は寂しさを感じ、熟れた肉体がほのかに疼き始めたのを知った。
和子は鍵を寮母に預け丁寧に挨拶して帰宅した。

「ただいま」
「遅かったじゃないか、どこかへ寄ってたのか」
充はいらだった様子でぶ然と言った。
「ごめんなさい、求さんの部屋を掃除してたの、いつもお世話になってるし」
「お前に何を預けたんだ」
「知りませんよ、そううち取りにみえるでしょう」
和子は充が最近やせ細って体調も悪いので機嫌が悪いのだと思った。
それから一週間後の金曜日 晩遅く和子を訪ねて来たのでした。    つづく


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