美奈は父親を相当嫌っているらしく、お互いに会う事さえ難しいそうなので僕によるお膳立てが必要で、彼女に接近する為に先ず出来る限り情報を集める事にした。鴨田恒夫から色々聞き出した結果、美奈は又キャバクラでアルバイトを始めており、学業よりそっちの方に精を出していると言う。随分男が好きそうな感じで、バイト先さえわかれば簡単に接触出来そうだが、どこの店なのか中々訊き出せずにいた。母親と同居しているもののその住所を教えてもらえず、母娘共鴨田とは関係を持ちたくない様子が伝わって来る。そんな敵意剥き出しの女二人に対して僕はいつしか男として反感を抱くようになり、こいつら母娘に屈辱の涙を流させてやりたくなっていた。鴨田によれば、元妻道子はどこにでもいるような魅力の無い女!
、年齢も50過ぎだから抱く気なんて起きないそうだが・・・。 人の心を動かすには金の力が一番で、僕はこの二人を大金で釣ってやろうと考え、最近親しくなった金持ちの青年がお前たちに同情して500万くらいを渡して援助したいそうだから一度会って欲しいなんて事を伝えるよう鴨田に吹き込んだ。彼は、そんな在りもしない話なんか誰も信じないよと反対したが、僕に説得されて結局応じ、それを道子に話した。案の定、彼女はそれを鼻で笑って相手にしなかったのだが、二回、三回と伝えさせ、「これで駄目なら向こうは諦める。それにしても勿体無い話だな。せっかくくれるというのに・・・・」などと、さも本当の事のように言って!
電話を切ると、しばらくして道子から電話が!
かって来、<会うだけなら会ってもいい>とようやく話に乗ったのだった。二人とは取り敢えず喫茶店にでも顔を合わせ、後は、僕が最近買った市内の中古マンションに連れ込めばいい。 美奈・道子母娘とは、小雪の降る非常に寒い日の朝に鴨田と共にM喫茶店で落ち合った。美奈は想像通り目が大きく開いていて鼻筋が通り、いかにも水商売に向いている今風の軽いギャルという印象で生意気そうだが、500万円をもらえるという期待からか、隣に嫌な父親が居るのを無視して僕にやたらと愛想良くしている。道子の方はさすがに50女で、黄ばんだ肌に皺の目立つ顔が初老臭いものの、目元や口元は娘と感じが似ている!
上に容貌も決して悪くなく、胸も豊満そうだ。僕はそんな二人に厭らしい視線を向ける事無く、彼女らが鴨田のせいでどれだけ苦しみ、今も生活が大変だろうかと同情的に語り、それに対して二人の女は500万円が頭から離れないのだろう、神妙な態度を取っているつもりでも、つい笑みが浮かぶのだった。 30分程話した後、僕は三人を駐車場の車に連れて行った。「わ!凄い!ベンツ!」美奈が目を輝かせて声を弾ませ、道子も嬉しそうにしている。助手席に鴨田が座り、女二人は後部座席に着いた。車は市道から間も無く県道に入り、一路マンションに向かった。軽音楽が流れる車内では!
たちのひそひそ話や笑い声などが聞こえ、僕は時々!
バックミラーで彼女らの様子を窺った。『馬鹿な奴らだ。騙されとるのも知らずに』金で釣られる薄っぺらな連中だから煮ろうが焼こうが手加減しないつもりだ。
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