小田原物語 第4話_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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小田原物語 第4話

17-02-14 05:05

第4話
典子は、自分が須貝と京都・大阪を旅行してきたから、そのうちに健吾と広子もどこかに出かけるものだと思っていた。しかしその気配がない。気になったので聞いてみた。

あなた達はいつなの・・?
あのことか・・。
行かないの・・?
気になるのか?
なるわよ・・。

いまは行かない。
何故? 
理由はいろいろ。
なに、それ・・・。

広子さんの話だけど・・。
会社でお話したの・・?
うん、社長が京都のホテルでのことを広子さんに話して、それで広子さんが少し考えたというのだ。

私のことが問題になったの?
典子のことは問題にしていない。社長が典子に言った内容のようだ。

もうこんなことはやめようというの?
そうではない。
どうしようというの・・? 
この話はもともと夫婦関係が壊れることは想定していない。その逆だった。
逆・・・?
俺たちの夫婦仲がぎくしゃくしていた時、それを何とかすることだった。
ええ・・・・。
でも、8月の君は問題があった。
今は違うよ。
今度は社長だ・・・。 
そこを問題にしているの?

それが問題だとは言わなかった。
じゃあ何が問題なのよ?
分からない。広子さんは考えるのが好きだから何か考えているのだろう。

理解してくれたと思ったのに・・・・。
理解してくれなかったら困るか?
私の心は決まっているけれど・・・・。
ん・・?
健吾と別れるはずがないわ。
そうか・・?
そうかではないでしょう。
そうなるかもしれないと出かける時にいったぜ。
そんなこと・・・初めから考えていなかったわ。
そうか・・・・。
そうかではないでしょう。

〈忘年会〉
そんな話をした後でも、健吾はいつもの通りの生活である。暮れに近づいて建築の仕事はぐっと少なくなった。それでも土日に出社することもある。典子も以前の生活に戻った。

師走に入った。小田原は暖かなところで真冬でも気温がマイナスになることはほとんどない。冬の間は良い天気が続く。富士山はもう真っ白になっている。こんな時でも富士山の登る人も居る。山の姿から登りやすい山だと思う人がいるかもしれないが、専門家の間では冬の富士山は恐ろしい山で知られている。毎年滑落事故が起きる。富士山特有の突風がありそれに足を取られたら終わりだ。

健一を午前9時に幼稚園に連れて行き、それから洗濯物を干し、スーパーで買い物をする。健一を午後2時過ぎに迎える単調な生活が続いた。来春4月になれば教員に復帰できると知らせを聞いたのが大きな事件というくらいのものだった。師走の十日が過ぎた頃、広子から典子に電話があった。

お元気・・?
ええ、みな元気にしています。
健吾さんや健ちゃんもうちに来て頂いて、忘年会をしませか。
去年はお世話になりました・・・でももうそんな時期ですね。
相模湾の冬のお魚がおいしいのよ。
お魚じゃあ私はお手伝い出来ないと思うけど・・。

お客様にはちょっとだけ手伝ってもらうわ。
でも大変でしょう。
源二がやりたいというのよ。クリスマスの前ごろはどうかしら・・。
はい、ありがとうございます。

四月から教員に復帰できそうと伝えると、よかったわね、そのお祝いも兼ねましょうという。夕方健吾が帰ってきた時、電話があったことを話すと会社で広子さんからの話を聞いたという。

二十日がいいというのだ。俺は何も手伝えないけれど・・。
私だって・・。
社長のこと何か言った・・・?
何も・・。
じゃあ、気にするほどのことじゃないと思うな・・。
そうだといいのだけれど・・・。

なにか持参しないといけないが・・・
お魚だったらお酒ね。
そうだなあ、準備しておいてよ。

前の日にデパートで魚料理に合うものを聞くと地元のものはどうかと言われた。
全国的には名前は知られていないがまずまずだと勧められた。二十日の昼過ぎに、典子は夫と健一を連れて一緒に伺うと、玄関に須貝があらわれた。お久し振り、よくお出でいただいたと三人はダイニングキッチンに案内された。昨年の夏以来だった。典子は壁にかけられている絵に目がいった。あの時はモンドリアンの版画だったが今度は平山のシルクスクリーン・・・だと思う。莫高窟だと須貝は典子の目線の先を見ていう。莫高窟はお好きですかと聞くと、特に好きだというわけではないがなんとなく感じがいいのでという。健吾は広子さんに挨拶しているところだった。

寄り添うように須貝の横に立ってしばらく黙って莫高窟の絵を見ていた。健一のワッすごい魚という声にふり向いた。

氷詰で姿のままの魚が入っている発泡スチロールの箱の蓋を健一が開けたところだった。須貝が笑いながら健一に近づいてたくさんあるだろうと話しかけた。典子も近寄っていくとそれらの魚がイシダイ、タチウオ、クロムツ、ヤガラで駿河湾の冬の味覚だと聞かされた。典子はヤガラを初めて見た。嘴の長い赤い奇妙な魚である。健一は興味深げに座り込んで見ていた。これからおじさんがお魚を料理するから健一君は見るかと聞く。健一は見たいと須貝について流しの傍に移動した。

須貝は魚を刺身、吸い物、煮物用にさばき始めた。広子と典子はその間は何もできないので少し離れたところに座って待っていた。広子は典子にくだけた話し方で接したが、典子は丁寧な言葉を使った。広子は小声で、典子さんお互いに遠慮しないで話をしましょうという。怪訝な顔の典子に、丁寧な言葉を使われるとお話がしにくいのよ、私たちはきょうだいだから・・・といって笑った。

きょうだい・・・?
そう、きょうだいじゃない。
私たちがきょうだい・・?
そうよ。むかしからそういうのよ・・・こんな関係。
こんな関係・・?
配偶者を交換した関係よ。
・・・・・・。
しらなかったの・・・?
ええ。
男たちはそう言うのよ・・。
何と返事してよいのかわからないので、曖昧に笑っていたら、これからも仲良くしくねという。これからもそういう関係で・・ということかと思う。あわてて、いいえこちらこそと返事した。その丁寧さをやめようというのよと広子は笑った。

健一は須貝から少し離れたところに置いた台の上から見ていた。健吾は健一のうしろに立っていた。須貝はさばきながら健一に何やら話しかけていた。健一の眼が真剣なのに典子はおどろいた。健ちゃん面白いのと聞くとうんといったきりずっと見入っている。須貝のさばき方は見事だった。魚屋さんみたいでしょうと広子が言う。ええ・・すごい腕ねと典子は感心して見とれていた。

魚をさばき終わった須貝から、さあお二人さんたちの番だよといわれ、二人はじゃあ・・・といいながら台所に立った。

見事ね・・これ。
包丁の違いだと源二はいうの。今朝からずいぶん丁寧に研いでいたのよ。
でも、それだけではこんなに綺麗にさばけないわ。

ヤガラと太刀魚は刺身にしましょう。イシダイは煮付け。ヤガラのアラで吸い物の出汁をとるの。クロムツはお鍋ね。広子の指示で調理が進んだ。

きれいな刺身の盛り合わせが出来た。煮物や吸い物も出来上がり、クロムツを中心にした鍋の材料も盛り付けた。テーブルに並べると豪華だった。そのテーブルには切り込んだ鍋用のガスコンロがあった。

料理は大体揃ったわね。
源二さん、ほんとにお魚の料理が得意ね。
役に立つでしょう。
ええ・・・・見とれてしまったわ。

逢いたい・・?
えっ・?
源二と・・・。
・・・・・・。
終わりにしたい訳じゃないでしょう?

ええ・・。
まだ若造みたいで、気にならない?
若造・・・?
そう、あとさき考えないところ。
それは・・・前に私だって・・。
あぁ・・・あなたも若かったのだ・・。

あら私、若いのかしら?
京都の夜のこと・・聞いたから・・。
・・・・。
レストランから部屋に帰ったあとのこと・・。
いやだ、そんなこと話したの。
典子さんのような人は初めてだって。
・・・・・・。
いいのよ・・・うらやましいなと思っただけよ。

源二さんが私に言ったこと、気にしているの・?
私が・・・?
ええ・・・。
どうして私が源二のことを気にする必要があるの?
だって・・・健吾と出かけないから・・・。
健吾さんと私が出かけなかったら、あなたは源二と出来ないの・・?
・・・・・。
あなたはもっと積極的になってもいいのよ。
・・・・・。

広子がいうことの真意はつかめなかった。しかしもう掴もうとする必要もない・・・気楽にしようと思った。忘年会は盛り上がった。クロムツの鍋がことのほかおいしかった。典子が持ってきたお酒は好評だった。鍋にはビールも合った。代行運転を頼んでいたので、健吾も典子も自由に飲んだ。典子と健一の4月からのことが話題になった。典子はこれからの不安を、健一は期待を話した。夕方、そろそろお邪魔しようと健吾がいい、タクシーに電話した。

タクシーの中では健一が魚の料理のことや、味について盛んに健吾と話していた。典子はその話を聞きながら、広子の話を思い出していた。きょうだいか・・・と心の中で笑ってしまった。

正月が来た。いつもの通り年賀のあいさつに伺う。手の込んだおせち料理が作られていて須貝と健吾はよく飲んでいた。帰り際に広子は健一にお年玉を渡し、典子を呼び止めて源二はあの調子だけれど・・よろしく、それに私も健吾さんに逢いたいし・・という。よいお正月でしたと礼をいうと、典子の眼を見ながらいい年になりそうねと笑った。

典子は何かを考えているような広子が気になった。回転が速いので掴めないところがある。そう思いながら広子の眼を見ると、笑いながら何も考えていないわよ、あなたが復職できるからいい年になりそうねと言っただけという。こちらの心の隅まで見透かされているような気持ちになる。

再び教員になる〉
典子は小田原市の中学で英語教員として働くことになった。健一の小学校入学と重なり、4月までは何かと気忙しい日が続いた。同じ市内に父母がいること、母親に頼れることで安心があった。健吾は一度この間に広子と機会を作って逢ったようだったが、典子はとても無理だった。

健一の入学式が終わってしばらくした頃、職場の見通しが何とか出来そうに思えた。もう少し先には新任研修がある。そのうち泊まり込みの研修もあり、市内の研究センター研修もある。そのことを母親に話して、協力を求めた。

結構大変だね、最近の先生は。
そう、なにかといえば研修。生活のやりくりが大変なの・・。
困った時はいつでも気楽に声をかけて・・応援するから。
ありがとう、助かる。

健吾にもいろいろ厄介をかけるけれどお願いねというと、出来るだけのことはするよという。

英語の教員か・・。典子は会話が出来るから楽だろう。
確かに最近は会話が重視されているから私には楽だよ。でもなんでこんなに会話を重視するかわからない。
そりゃ、会話できなければ意味がないじゃない。
でも、普通の人は普段英語で会話をしないよ。
当たり前だろう。
そんなに重視しなくていいと思うけど。

外国で活躍する人も最近多くなっているから・・・。商談で人が日本にくる時代でもあるし・・。
そうだけど・・・。そんなこと会社はこれまでも十分対応しているわ。
なにが典子は気になるのだ・・?

最近は大学で講義を英語で行うことが推奨されているの・・・・知っている・・?
いいじゃない・・。
いいと思う?人は母国語でものを考えるのよ。講義を英語でやれば聞く練習にはなるけれど、講義内容の理解はむつかしいと思う・・。 大学の先生が下手だから・・?
大学の先生は自分の専門のところは大抵英語で話せるわよ。それに講義はちゃんと準備してくるから・・先生にはそんなに負担にはならないわ。
聞く学生が大変か・・?

そうよ、英語で聞いて理解するのは大変だよ。
それでも国際的になり、悪くはないだろう?
10年ほど前に全国学力テストがあったけれど、秋田県が全国一だったの。小さな村の小学校がトップだったのよ。その村は図書館司書の人をきちんと配属して、予算も普通の県の4倍も使って図書館を整備しているの。毎日の読書に時間をかけているのよ。母国語を大切にすることが大事らしいと外国からも注目されているの。
日本でそんな話があるのか・・?

明治維新のあと、日本政府は外国人の教授を多く雇ったわ。講義はもちろん外国語よ。けれどすぐに明治政府は大学で日本語の授業が出来るように努力したのよ。そのために西洋の術語を全部日本語に翻訳したの。それって凄いことなの。
そうか・・・。

明治時代から自国語で高等教育がきちんと出来たのはアジアでは日本だけよ。そんな日本で英語の授業が推奨されるのがおかしいというか・・何だか変な話でしょう。そのために私たちの研修がきついのよ。

でも典子は英会話が出来ることで就職が有利になったからいいじゃない・・。
まあね・・・・難しく考えないほうがいいかな。何か言うと問題になる時代だから。

〈須貝の家に〉
四月の末に一度典子は携帯に電話がかかり須貝に誘われた。雪の富士山を見たい、車で箱根に出かけようという。帰りにどこかで休息しようという。場所を聞けばそこはラブホだった。しかし典子はラブホの雰囲気が肌に合わなかった。それにまだ学校の状況から心がそちらの方に向く余裕もなかった。少し待ってと断った。連休明けにもう一度誘いが来たがまたすこし待ってと返事した。

去年の夏、須貝の家でカーテンを開けたままの明るい室内で抱かれた感覚が新鮮だった。明るいベッドの上で須貝と絡み合っていた自分の姿が蘇る。特別な日は特別な雰囲気がほしい・・。京都でも昼間は明るい部屋だった。二度目の電話の時に・・・・そんなところではと言葉を濁した。

いやか? 
特別な日だから・・。あなたと逢うことは度々じゃないでしょう。その時間を大事にしたい。
典子にそういわれるのも悪くないな。そんなに大切に考えてくれているのか。
ごめんなさいね・・・でも私の正直な気持ちよ。
いや、うれしいよ。

そんな会話をしたことを思い出していた。それからしばらくして、広子からびっくりする電話がかかってきた。よかったらうちを使ってという。

最近実家に行く用事がちょっと増えたのよ。両親も齢だからいろいろ手伝わなければならないことが出てきてね。その時はどうぞ・・・。
源二さんが話したの・・・? そう、源二から聞いたよ。
でも・・・・そんなこと・・。
いいのよ、前にもう使ったじゃない。
あの時は・・。

うちでした感覚が忘れられないとか・・。源二にそういったのでしょう?
そんなこと源二さんは話したの・・?
そうよ。あなたのこと何でも話してくれるのよ。
いやだなあ・・・はずかしい。
そんなにはずかしいことしていたの? 
いじめないでよ・・・。
うらやましいなと思っただけよ。

いいの・・?
いやだったら電話なんかしない。大切な日はそんなに度々ではないでしょう。
源二さんは何でもしゃべるのね・・。
そう、あなたのだいじな人はお喋りよ・・。
いやだなあ・・何だか広子さんに覗かれている気がする。
覗かれて興奮する人もいるのよ。
もう・・・何をいうのよ。

源二には私が実家にいく日は伝えておくから・・。
ありがとう・・。
そうだよ、やさしい姉さんでしょう。

連休の次の週に、木曜の職員会議が終わった時に源二からメールが来ていた。土曜日には昼過ぎから広子は親のところに行く予定だとある。うれしい・・・とだけメールを返した。

土曜日の朝に、夕方から須貝さんのところに行く、いいでしょうと健吾にいうと、広子さんの了解が出たのかと聞く。

了解だなんて・・・実家のお手伝いよ。わたし・・遅くなっても朝までには帰ってくるから。
泊って来てもいいよ、どうせ次の日は日曜日だろう。
でも・・健一と遊んでやらないといけないし・・。
いいよ・・俺が面倒見るから・・。
うん・・出来るだけ泊らずに返って来るけど、帰れなかったらごめんね。

その日も健吾は会社に出た。典子は学校の仕事と健一の相手で忙しかった。夕方、健一にお母さんはお仕事で今夜はお外に出るから一緒に食べられないけど、お父さんと一緒に食べるかと聞いたらそうするという。そんな話のところへ健吾が帰って来た。

健一とあなたの夕食は準備しておいたから、お願い。
典子はあっちか・・?
向こうでなにか簡単なものを作って二人で食べる。広子さんは昼過ぎに実家に行ったらしいから。

親密だな・・。
大丈夫よ。
いや、社長がさ。
大丈夫でしょう・・。
火種は残っているよ。
心配なの?

いや、典子は信用しているさ。
自分の会社の社長さんは信用するものよ。

お母さんは今晩お仕事で遅くなるからお父さんにお風呂に入れてもらいなさいというと、お母さん忙しいのだね、頑張ってといわれ、ドキンとした。5時過ぎに車で出て、スーパーに寄ってから須貝の家に着くと源二が迎えてくれた。

夕食まだでしょう・・わたし簡単に作るから・・。
材料を買ってきたのか・・。
たいしたものは出来ないけど・・・・。
いや、広子がもう作ってくれている・・・・。
ええ・・・・?
気にしなくていいさ・・・・ただもう少しすると広子は帰ってくる。
ええ・・・・?

広子の両親が急に伊豆の温泉に行くことになってね・・。
まあ・・・。
昼すぎに出て行って片づけを手伝っている時に、親たちの付き合っているグループから伊豆の温泉に行かないかと電話が入った。一組抜けたから急な話だが参加してくれたら助かると誘われたらしい。広子はその話を聞いていって来たらよいと言ったらしい。
キャンセル料があるからね・・・丁度良かったじゃないの。
親を送りだして、少ししたら帰るからと連絡が入った。
そうなの・・・・。

広子のいうことには、俺たちは二階を使って、広子は今夜1階の客室で過ごすから気にしないでいいという。
そんなこと・・・・。
俺と典子のことは広子が認めているからいいじゃないか・・。
いやよ。
どうして・・?
2階と1階よ・・・同じ家に広子さんがいるのに・・・・。 どれくらい離れていたら出来るのだ?
バカ・・・。
ダメか・・。
ダメに決まっているわ。

その時須貝の携帯が鳴った。ちょっと失礼と携帯を取り出し話し始めた。話を聞きながら頷いていた須貝が、いま典子さんが来られたと言うのが聞こえた。それからまた話を続けながら頷いていた。電話を終わって須貝が典子に言った。

30分もすると帰って来る。一緒に夕食をと言うがどうする・・?
いやだなあ・・なんだか広子さんに試されているみたい・・。
試している・・・・?
ご一緒できないというと角が立つし、一緒に食事するのはバツが悪いし・・。
いいだろう・・・もう何も気にしないで。
仕方がないわね・・。

あと30分ある・・膝に乗ってくれる?
前みたいに・・・キスしないで・・?
さあ、どうだろう。

須貝は典子を膝にのせて抱きしめた。典子は今夜十分時間があると思っていたのに・・といい、抱かれて須貝の胸に頭を置いた。須貝は大きく息をしながら典子の匂いを嗅いでいた。いい匂いだという。残念ね・・今日は・・といいながら仰向くと須貝がキスしてきた。

しばらく抱き合ってキスした。須貝はスカートの上から太腿をさすっていたが、中には侵入させなかった。そして典子を抱き直して正面に据えた。タイトスカートがずり上がり白い太腿が須貝の両側に突き出る格好になった。典子は気にしなかった。須貝は力を入れて典子を抱きしめた。その力は須貝の残念さが込められていると典子は思った。

しばらくねちっこい抱擁が続いた。1年前のおどおどしていた典子の姿はなかった。

すこし切ないね・・・。
すこしだけなの・・?
とがるなよ・・。

広子さんは私にお互いきょうだいだというのよ。
私の妹だとかいっていたな・・。
でもいいねえさんよ。
だったら泊っていってもいいだろう・・?
まだ言っているの? 今夜はダメよ。
今夜というのは何時か出来るのか・・?
そんな気もするけど・・・今夜はダメ。心の準備がないわ。
心の準備が必要か?
私、心に引っかかりがある時はダメなの・・・。
覗きに来るとでも思うのか?
まさか・・・そんなこと広子さんがするわけはないでしょう。
何が気になるのだ・・・。
バカ・・気にならないほうが異常よ。

きょうだいなんて言い方どこで覚えたのだろう・・?
源二が教えたのでしょう?
俺は知らなかった・・・。
別のひとに教えられたのかな・・・?
健吾君か?
健吾はそんなしゃれた言葉知らないよ。

今度いつ会える?
ちょっと予定がたたない・・新学期からまだ忙しさが続いているの。
やたらと研修があるとか・・。
そんなでもない・・でも結構忙しいの・・。
泊りの研修もあるらしいじゃないか。
それは7月から・・。
じゃあ・・何とか逢える?
でも、急な仕事も入るのよ。

さらにねちっこく抱き合った。須貝の手がブラジャーの上に置かれ、内側の乳首を探すようにブラジャーの上をなぞった。典子の胸の奥から香水が匂う。典子の首筋をキスする。逆らいもせず須貝のキスを受けた。急激に感情が高まって来たがどうすることもできない。

したくならないか?
したいに決まっているでしょう。
出来るのだぜ・・。
バカ、いやだと言ったでしょう。

また夢中で唇を吸い合い、舌を絡めていたら庭に車の音がした。

広子さんが帰ってきたわ。
うん・・しょうがない奴だな・・。
何を言っているの、自分の奥さんが帰って来たのに・・。
だからさ・・・・。
きっと今日しなければならない仕事があるのでしょう?今日は無理して時間を作ろうとしたのよ。
たいした仕事ではないはずだ。何か考えているのだ。

もう放して・・・。
いつ会える・・?
広子さんが来るじゃないの・・・放して。
いつ会える・・?
あとで連絡する・・。

広子が玄関からダイニングに入ってきた。

お邪魔します・・。
お邪魔しますだなんて・・。
泊ってくるはずだったけれど、両親が旅行に出かけたので・・こちらで残した仕事を思い出して帰って来たの・・。ごめんなさいね。
いそがしいのね・・。

たいした用事でもなかっただろうが・・?
急に思い出したものがあるのよ・・。
斎藤商事への請求書か・・?
そう・・あなたが仕上げろといっていたから・・。
明日まででなくてもよかっただろう・・。
あら、そうだったの・・。
気の利かない人だな・・。
ごめんなさいね・・ハハ・・・。

だから典子さん・・今夜は帰る・・。
あら・・・あなた達二階を使うのでしょう。私は一階の客室で仕事をしてからそこで寝るから・・。
そういう訳にいかないのだよ・・。
そう? ごめんね・・典子さん。

結局その日は夕食を3人でとり、8時過ぎに典子は須貝の家を出た。夕食の食卓では典子の学校のことが話題になった。最近の中学生のことを広子は聞きたがり、典子の話に爆笑が続いた。

広子さんの居る家で私と源二がセックスすることを勧めているけれど何が目的だろう。そんな状況でも気にしないで出来るかどうか私を試しているのだろうか。でも広子さんが居るのに須貝のベッドに行くなんて出来る訳がない。そう思いながら帰った。

ただいま・・。
あれ・・・?
今日は都合が悪いのだって・・。
梅雨に入る前に仕上げなければならないところが幾つかあるが・・そんなに仕事は立て込んではいないはずだが・・。
知らない・・。

もう夕食は健一とすんだよ。
向こうで少し食べたの・・・ビールでも飲むわ。
ヤケ酒か、じゃあ付きあおうか。
ありがとう・・、やさしいのね。
俺はいつでもやさしいだろう。
うん、そんな旦那をおいて外泊を企てるなんてね・・・。
悪い女だな。

健一は・・?
もう寝たよ。お母さんは忙しいのだねといいながら・・。
健一にも悪い母親ね・・。
そうだね。

どうしたらいいの・・・?
健一に対してか?
うん。
愛情をかけてやればいいよ。親は、母親でも父親でもだが、子供には絶対的に愛していることを分かってもらえばいいさ。

明日、山に連れて行こうか。あなたは・・?
だめだ、明日は仕事。
日曜日に・・・? 広子さんとでしょう・・?
仕事だ。

ごめん。
未来人が一人前に妬くのか・・・?
そうみたい。
古い脳の支配から解放されないのだ。

嫉妬は新しい脳に属すると思うけど・・・・。
ハハ・・確かに嫉妬は人間の歴史でごく最近のことだったな・・・。
そんなこと話したことがあったわね。
ああ、スワップするかどうかでもめた時に・・・懐かしいな。

健吾はもう私が向こうで泊っても妬かないの。
どうかな、典子と似たようなものだよ。
じゃあ、やっぱりいやなのだ。
いやだったら反対するよ。ただちょっとだけだ・・。

健吾は偉いね、自分を律していける人だから。
こんなの、偉いのかな・・?
偉いよ・・、尊敬する。
世間が聞いたら訳が分からないだろう。
そうでしょうね。

明日、健一と山か、それもいいな。あいつ山が好きらしいよ。いいことだ。
うん・・・高尾山にしようかな。まずは簡単な山からね・・・・。
山というほどでもないが・・・。
いい山よ。600mはあるし・・。
ケーブルカーだろう。
まだ新緑だと思うよ。

そうだろうなあ・・。麓までは車で行くか・・。
そうしようと思っているの。
じゃあ、もう寝るか。

健吾・・したい。・・・だめ?

ピンチヒッター?
そんな言葉いや・・健吾も好き。
どんなに・・?
健吾は太刀魚、あっさりして美味しい。須貝さんはクロムツ、こってりと脂があってとろける。
ハハ・・・うまい表現だな。今晩はクロムツを食べ損ねた訳だ。
そう、残念でした。

典子は風呂に入り、バスタオルで体をくるんだまま寝室に現れた。バスタオルを取って裸になり、横たわった典子の体は何時みても見とれるほどだった。湯上りで色づいた肌は、抱くとねばりつく感じがした。明日があるから1回だけお願い・・発散したいという。一回きりでいいのかと聞くと、思い切りして、健吾はそのままいってよ・・・と抱き付いてきた。湯の香のする体を抱きキスすると舌を絡めてきた。触るともう完全に潤っていた。

早いね・・。
あちらでするつもりだったからよ。
だからピンチヒッターだといっただろう・・・。
そんなこといわないで・・・・健吾。

上になる・・?
いや・・・普通がいいの。
うしろからもいいという人も居るけれど・・。
ワンワンスタイルは好きでないの。健吾とキスできないじゃない。しながらキスするのが好き。
注文の多い人だな。
何も注文していないよ・・普通でいいの。

合体すると典子はいつものルートを経て昇っていった。一回だけと言いながらその一回をとことん味わい尽くすように激しかった。健吾はこの典子の体を今夜社長が抱くはずだったと思うと興奮して力がみなぎってきた。健吾・・凄い・・といいながら典子は喘いだ。腰の使い方が以前と比べたら格段に上達し逞しさも生まれていた。一階だけと言いながら何度か頂点を極めて真っ赤な顔で・・健吾、健吾と呻く。頃合いを見ていいか・・と聞いたら来てという。

健吾がポルチオを圧迫しながら腰で揺すると・・アアすごいといって健吾にしがみついた。何時までもオルガスムスの状態が続くと思われるくらい典子は乱れた。健吾は典子がこんな姿で社長に抱かれているのかと何とも言えない気がして放出までの時間が伸びた。その間中典子は呻き続けた。健吾が気を遣ると一瞬典子の顔から血の気が引いたようになり体を反らせて果てた。

乳房の谷間に汗が光っていた。脱力したまま目をつぶり典子はしばらく動かなかった。健吾が乳房にキスすると、うっすらと眼を開けて、ああイイな、もっとしたいな・・・でもやっぱりダメ。健吾降りて・・・またしたくなるという。

まだする力はあるのか・・・・。
あるわよ・・でもとことんやると運転中に睡魔が来るのよ。私はやりすぎると眠くなるたちだから・・。
そうだな、健一を乗せて居眠り運転されたら大変だから。
そうよ。
典子はだんだんすごくなるな。
35歳・・・・女の盛り。一年前に嫌がる私に火をつけたのは誰よ・・。
悪かったな。
逆よ。感謝している。
一回だけだったら目が冴えて眠られないとか・・・・そんなことない?
ない・・お休み。

そういってすぐ眠った。抱いた体の弾力、体のしなり、上質のカシミヤに似たぬめりを持つ肌、健吾のものを咥えこんでうごめく膣、いまが盛りという典子の言葉は本当だと思う・・・社長が執心するはずだ。

昨年の8月の三日間の話を思い出した。あそこが始まりだった。そしてその年の秋に京都から大阪を巡る旅があった。それが典子に変化をもたらしたことは確かだ。言うことがはっきりしてきたし、行動も積極的になった。

独り立ち・・・どこかにまだ自分中心なところがある。肉体的には変化した耐える力や、短時間で発散させる能力・・・・。1年間でこんなに変化するものか。眠っている典子を見ながら、これから先どんな変化を見せるのだろうかと思う。

〈高尾山〉
小田原から高尾山までは高速を使えば、1時間ほどだから、朝はゆっくりした。目覚めた健一は母親がいるので怪訝な顔をしていた。お母さん忙しいから帰れないといっていたでしょうという。仕事が早く済んだの、今日は健ちゃんと高尾山にでも行こうと思っているのだけれど・・・どうすると聞くと喜んだ。お父さんもいくのでしょうと、健吾に聞いていたが、一緒じゃないと聞いてちょっとガッカリした様子だったが口には出さなかった。

ケーブルカーの終点はまだ山の中ほどで、そこから歩く道になる。さすが5月の新緑で人混みは凄かったが、山は見事だった。参道を抜けて行くと天狗で有名な薬王院があり、そのことを話すと天狗が見られるかと聞く。見られるよと答えたら入りたいという。大天狗と小天狗の像があった。むかしの天狗らしいよというと、真剣に見ていた。やっぱり天狗には羽根があったんだ・・・と言う。

薬王院を抜けてさらに歩くと山頂だった。寄り道をしたので一時間以上かかった。高尾山の入り口で買ったおにぎりを食べてお茶を飲み、もみじ台や一丁平をめぐった。健一は富士山が見える、まだ雪がいっぱいだと喜んだ。下山はリフトを使った。展望が自由で健一はニコニコしていた。遠く東京の方角がかすんでいた。

リフトを降りて歩いて車の方に向かっている時、お父さんとまた釣りに行きたいという。そうね、今度はみんなでいこうというと、お母さんは忙しいでしょうという。その表情には母親は忙しい人で無理をいえないと考えている様子が窺える。ずっと自分が家で育て手をかけて来ていると思っていたが、父親と遊んだ記憶が強いらしい・・・。私は健一の圏外にいたのかと気になった。確かに職場のことで悩んでいたから、健一にはきちんと接することが出来ていなかったと思う。

健一に向き合ってきたのは健吾だった。 それに最近の自分の様子に何か違和感があったのだろうか・・須貝のことが分かるはずはないのに。黙って前を向いて歩く息子を見て急にいじらしさがこみ上げてきた。もっと寄り添ってやらねばと思う。

お父さんにお土産を買って行こうというので、三福まんじゅうを買って帰った。健吾は丁度帰ったところだと家にいた。健吾に飛びついてお土産を渡している。あんなにうちとけた姿は自分には示していない。初めて見る風景のような気がしてショックだった。

夕食後、健一は父親と高尾山の天狗の話をしていた。高尾山にはむかし天狗がいたのか、羽根があったから本当に空を飛んだのか、どこまで飛べたのか・・子供らしい質問を健吾に浴びせて真剣に聞いていた。子供の空想を壊さないように健吾は上手に対応していた。わたしならどう答えたのだろう、こんな接し方をしていないと思う。

〈健一のこと〉
その夜、典子は寝室で健吾に高尾山に行った時に健一について感じたことを話した。

オーバーだよ。でもそれは大事なところだろうなあ。よく気付いたな。
考えさせられたよ。
考えすぎだとは思うけど・・。
親子の関係が壊れているとは思っていないけど・・・・気になるの。
典子は真面目だな。
真面目でありたいと思っているくらいだと思うけれど・・。
それで何をしたいのだ・・・?

何をしたいというより、普通に健一と向かい合いたい。
そうか・・。
でもちょっとどうしてよいかわからない。
うん・・。
少なくとも、しばらくは健一を中心に考えたい。
その間、社長に逢わないつもりか?
しかたないと思う。
それは切ないだろう・・? 
切ないだなんて・・・私はあなたの妻よ。

でもそうだろう・・?
そうじゃないわ・・・・。

何とかしよう。
何かできるの?
健一を二人で見る時間を増やそう。
・・・ほんと?
二人で一緒の時間を作れば、親子三人の関係が出来る。

私も仲間の一人ね・・。
うん。
健吾、忙しくなり過ぎない?
なにが?
仕事と家庭・・。

何とかなる。それに典子が社長と関係を断てばこちらもやりにくいからね・・。
私に付きあう必要はないわ。あれから広子さんに逢っていないでしょう。
うん・・。
逢っておいでよ。
寛大だな・・。
あなたと同じよ。それに健吾は私たちのことずっと考えていてくれたから、そんな人に嫉妬したら罰が当たるよ。
罰が当たるか・・。典子にしては面白いことをいうのだな。

その夜典子は燃えた。健吾・・好き・・と譫言のように言いながら何度も天を突いて登った。人は気持ちの持ち方でセックスの感覚が変わる。典子は須貝を忘れて健吾に没頭した。

その日から健吾は典子の様子が変わったと感じていた。社長の影が典子の体から消えたように感じた。それはわずかな変化だが健吾にはわかる。少しかわいそうな気もするが、新婚の頃とは別だが、睦まじい二人に変って来たのはうれしいと思う。

〈広子の二度目の誘い〉
初夏が過ぎて梅雨入りした。須貝から時々電話があったが逢う話にはならなかった。遠出はむつかしいし、須貝の家では都合がつきにくいのである。暫く経ったある土曜の夕方、広子から電話があった。健吾はまだ帰宅しておらず、健一に絵本を読んでやっていたところだった。健ちゃんちょっとごめんといって、受話器を取った。

典子さん、いまいいの・・?
ええ。
源二がいやになったの・・?
まさか・・。
誘いを断ったとか・・。

いま、健一が難しいときだから、ちょっと頑張っているのよ。
健ちゃん元気?
元気よ、一緒に遊んでやる時間を作りたいの。
先生を始めたからね、大変ね・・。土日は付きっきりなの・・?
そうしたいけれど土日も仕事が入る時があるの。
そう・・、忙しいとは聞いていたけれどね・・・。そんな時はご両親のところに健ちゃんが行くの・・?
ええ、助かるの。
ご両親は喜んでいるでしょう?

私が子育てで手抜きしたからそのツケが回って来たのよ。
よく面倒を見ていたじゃない・・。
心がこもっていなかったの・・・反省しているのよ。
ふーん・・。

そんなこと健吾から聞いていないの・・? ねえさんは逢っているでしょう?
話を持ちかけてくれない。
どうして・・?
あの人も忙しそうだし・・。それで何かあるのかなと思って・・。

健吾にも協力頼んでいるから・・。
それで忙しいのね・・。
ねえさんには悪いわね・・・。

まさか・・。二人三脚で子育てはいいことよ。私も息子が小さいときのことを思い出すわ・・。
源二さん、協力してくれた・?
結構ね・・。
子育ての秘訣はないのかなあ・・。
よく一緒にいることと、話をするときはやさしく眼を見ながら話すのよ。それから・・よく聞いて、ほめてやることよ。私はそれしかやってこなかった・・。
わたしも心得ている積もりだけれど・・。

余裕がないかもしれないけど、源二に顔を見せてやって・・。
ええ・・。

ねえ、私が居てもうちで源二と逢ってもいいのよ。うちは広いのだから・・。
いやよ。
そう・・?
広子さんがいて出来る訳がないでしょう。
源二がまた私の居る時に典子さんを呼んでもいいかと聞いたから、典子さんがそれでいいなら全然問題ないとこたえたけれど・・・。
いやだ、あの人・・。
わたしそんなこと全然気にならないのよ。
わたしが気にするわよ。
じゃあできるだけいない日をつくるから・・。
そんなこと・・・・。

本当よ、私のことを全然気にしなくていいのに・・・まあいいか。じゃ子育てを頑張って・・・・応援しているから。
ありがとう。電話を頂いて・・。健吾には連絡取るように伝えるわ。

電話が終わって30分もしないうちに健吾が帰ってきた。

お帰りなさい。
ただいま。
梅雨になっても仕事があるの?
屋根が出来たところは雨でも仕事が出来る。数としては少なくなっているよ。
広子さんから電話があったの。
なんて・・・?

あなた、広子さんに逢ってないの・・?
ああ、ちょっと忙しくて・・。
逢いたいみたいだったよ。
そうか。
明日、出かけたら・・? 多分広子さんは何か考えているはずよ。
何かいったのか?
考えていてもそんなこという人じゃないわ。でも・・あの雰囲気はきっと考えているわ。
典子も結構人を読むようになったのか・・。
いままで人のこと考えなさ過ぎたと思うよ。

明日の計画はあるのか?
多分雨だし、健一と一日いることになるわ。晴れ間を見て買い物には一緒に行くけど。
健一とはうまくいっているか。
何とか・・。
確かに以前よりは君にまとわりついているな。

私は健一をきちんと見ていたと考えていたけれど、あまり見ていなかったことがわかったわ。
そんなことはないだろう。
平日は帰ってきてからと休みの日しか健一と接しないあなたの方がよく見ていたのよ。ちょっとショックだった。
大げさだろう・・。

健吾は素敵な人ね・・。
そんなに褒めるな。何か裏があるのか・・?
何も・・。広子さんに連絡したら・・・・。待っていると思うよ。

                   第4話  完


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