牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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17-03-05 10:45
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お盆前くらいに突然、うちの会社に中途採用で入ってきた男がいた。 面倒だから仮に『犬井』としておくが、この犬井、モデルか何かかと言うくらい端正な顔立ちに長い足。 スーツひとつとってもオシャレだ。 人当たりも良く、いつの間にか皆の輪に加わっているし、仕事覚えるのも早くてね、(もう完璧超人だな、こいつは)って感じだった。
年齢が俺と同じってのもあって、何かと比べられた。 俺はすでに入社6年目なんだが、犬井が入って半月も経ってないうちから、「もう追い抜かれたな。次期主任は犬井かな」なんて上司から言われたりして。 俺がダメ社員なのは自他共に認めるところだが、犬井は出来杉クンだった。 当然、女子社員も騒ぐわな。
「犬井クンってかっこいいよねー」 「きゃー。犬井クンと目が合っちゃったー」
俺も騒がれるんだけどな。
「猫田ってキモいー」 「げー。猫田と目が合っちゃった!」
ただ犬井は女子とほとんど口をきかないんだ。 見ていると、女性に対しては異常にシャイと言うか、クールな感じと言うか、何と言うか。 まあ女子社員どもはそういうとろも彼の魅力と見ちゃって、余計に犬井人気が上昇するという・・・。 何だろうなって。 あまりに美男で、女性へ興味なしってとこで、犬井ホモ説も出ていたけどね、と言うか犬井に嫉妬した俺が流した噂なんだけど。
あれは12月入ってすぐくらいだったろうか、朝、会社に犬井から電話が入った。
「体調悪いので病院行きたい。午前中、休ませて欲しい」
午後になり、再度連絡あり、「医者から休めと言われた。今日一日休ませて欲しい」と。 仕事は暇な時期だったし、そういう事なら仕方がないなと、まあ誰も気にはしなかった。
が、翌日も犬井は出勤してこなかった。 しかも連絡なし。 昨日今日だから体調が回復しなかったんだろうかとは思ったが、一応は携帯に連絡を入れてみた。 何度かけても繋がらなかった。 みんな心配したさ。 部屋で倒れているんじゃないかって。 で、午後になって、俺がとりあえず外回りのついでに、犬井の部屋まで様子見に行く事になった。
犬井は会社が借りているマンションの部屋に住んでいた。 俺は行った事がなかったので、手渡された地図を頼りに何とか辿り着いた。 部屋の前まできて、何度かチャイム鳴らしたが全く応答なし。 で、ドアノブを何気にひねってみたら鍵が掛かっていなかった。 ガチャッとドアが開いた。 俺は怖くなってきたよ。 それこそ(中で倒れていたら、何か事件に巻き込まれたのでは、・・・どうしよう)って恐ろしい考えが頭をよぎる。 開いたドアからちょっと中を覗き込みながら、「犬井?いるか?」と、何度か呼んでみたが返事なし。 人のいる気配みたいなのが全く無いんだよね。
意を決して俺は部屋の中へ入ったよ。 誰もいなかった。 物があまりなくて殺風景な部屋だった。 荒らされた様子とかはない。 そしてなぜか鍵が2本、部屋の真ん中に丁寧に置いてあった。
俺はこの時点で、(犬井の奴、夜逃げしたのでは?)と思い始めた。 その日、犬井の携帯に何度か電話かけたのは俺だが、最初はコールしていた。 何回目かの時、確かに誰か出たのだが、すぐ切られてしまった。 その後は何度かけても話し中だった。 置いてある鍵といい、あまりに物がない部屋といい、もう犬井は戻ってこないんじゃないかと。
まあ、いいや、とりあえず見たままを会社に報告しようかと部屋を出ようとしたところ、ふとケースが横倒れになっていて散乱しているDVDが目に入った。 何気に手にとって見ると、盤面に何か文字が書いてある。 ローマ字のようだ。
『miyoko』と読めた。
他のDVDも同じようにローマ字の走り書きで、女性の名前か、苗字が書いてあった。 苗字の場合は『araiさん』とかそんな風に書いてあった。
すごい気になった。 なぜなら、そこに書かれている苗字や名前のほとんどがうちの女子社員のと一致する。 俺は思ったね。 まさか犬井の奴・・・盗撮か何かしていて、そのデータをこのDVDに入れていたのではないだろうか。 ふてえ野郎だ。 さすがの俺でもそこまでやらんぞ。 これは・・・没収だ。
今思うとヤバい事をしたと思う。 俺はそのDVDをすべて持ち帰ってしまった。 会社には犬井はいなかった事、部屋の鍵が掛かっていない事のみ電話で報告して、DVDを鞄に突っ込んで直帰した。 犬井失踪、盗撮DVD・・・。 すべて俺の思い込みで、普通に犬井が部屋に戻ってきていたら、本当にまずいことになっていた。 しかしその時の俺はそんなこと考えもしなかった。
家に帰り、早速PCを起ち上げ、DVDを開いてみた。 まずは『manami』と書かれたDVDからだ。 manami・・・。 会社にいる『真奈美』という女は総務の事務で、俺より年齢が3つ4つ下で、入社も後のくせに、いつもきーきーと俺に食ってかかってくるウルサイ女だ。 小柄で細見、生意気そうな顔をしているが、ハッキリ言って可愛い。 性格は俺にとっては最悪だが。
さて、DVDの中身はファイルが1個のみだった。
『manami.avi』
さてこれを開いて出てくるのは、盗撮された真奈美のトイレかロッカーか。 ぐふふふ・・・、ダブルクリック。 動画に映し出されたのは確かにあの事務の真奈美だった。 しかし風景はトイレでも女子ロッカーでもなかった。 部屋だ。 それもさっき見た犬井の部屋っぽい。 動画のメインの真奈美は会社で俺に見せる軽蔑の眼差しではなく、何か可愛い媚びるような女の眼だ。 男の声がする。 声ですぐ分かった。 犬井だ。
「じゃあ、脱いでみようか」
そんな犬井の声に真奈美は、「え?」と言いながらもストリップのように服を脱ぎ出した。 それを色んな角度から追うカメラ。 真奈美は「やだー」とか言いながら何だか楽しそうだ。 真奈美は下着だけになる。
「ねえ、恥ずかしいよー」
腕で体を隠す仕草をする真奈美。 カメラの前でここまで脱いでおいて何を言うかと思った。 画面がガタガタとブレたかと思うと、どこかに固定されたようだ。
画面についに犬井が登場した。 真奈美を抱き締め、キスをする。 その後は下着を脱がし愛撫をしていた。 たまにカメラの様子を気にし、角度を直す犬井。 その仕草が何ともナルシストっぽい。
(これは・・・これは盗撮なんかじゃない!れっきとしたハメ撮りだ!!)
真奈美の奴、声が大きく、そしてすごい媚びるように「ぁあ~ん」とか喘ぐ。 普段とは大違いで笑ってしまった。 俺は抜くのも忘れて見入ってしまった。 が、結局は抜かせてもらった。
まさかまさかと、没収したDVD18枚をすべてチェック。 知っている名前の書いているDVDはやはりうちの女子どもで、驚くべきは、社員・派遣・パートアルバイトなど会社の女子50数人中、12人が収録されていた。 後の6人は知らない人だった。 ハメ撮り動画、ハメ撮り画像、DVD1枚につき一人収録。 ファイルはDVDによって1個しか収録されていないものもあれば、何個も入っているものもあった。
ちなみに俺が最初に観た真奈美の動画が日付では最新で、4日前のだった。 一番古いファイルは犬井が入社して間もない頃ので、『yosino』さんのDVD。 『吉野』さん。 会社ではパンチャーをやっている。 年齢は30ちょい超えの行き遅れのお嬢様だ。 いつもおとり優雅で、人と接する時は微笑を欠かさない。 何かぽわーんとした感じで、会社ではおっさん連中の人気は高い。
『yosino.avi』をダブルクリック。 画面の向こう側の吉野さんも普段と変わらない感じだった。 犬井の言う事にいつものトーンで微笑みながら、「はい、はい」と答える吉野さん。 そして犬井の太いチンポを優雅に咥える吉野さん。 ホント優雅だ。 単調ではあるが、ゆっくりと丁寧に手を添え、顔を上下させている。 吉野さんはこういう時も吉野さんのままだ。 これには俺は萌え死にそうになった。 抜かせてもらった。
それにしても犬井は入社してたかだか3~4ヶ月、その間に12人って! しかもすべてハメ撮りOKにまで持っていくって!! 犬井は神か!!
うちの会社の女子の全員が美人ってわけではない。 なかにはデブもいればブスもいるし、おばさんだって多い。 しかしここに映っている12人は、間違いなく上位に位置する女性たちであろう。 それをことごとく落とす犬井。 そんなに手を出していて、会社内でトラブル的なものは無かった。 水面下ではあったのかもしれんが。
犬井の奴は細いくせに筋肉質で、立派なチンポを持っていた。 そして何より画面の中の女たちは犬井が何か言うと、様々な反応を見せつつも、結局はそれに従う。 真奈美も、吉野さんも、荒井さんも、多恵ちゃんも、美代子ちゃんも、瑞穂さんも、張さんも、水野さんも・・・それからそれから・・・。 何か妖しげな術でも使っているのか、犬井は。 まさに神か!?
ショックだったのは、俺が唯一社内で密かに付き合っていた人妻の美恵子さんまでコレクションにあったことだ。 最近、誘っても乗ってこないと思ったら・・・ううう。
犬井にガシガシ突かれて、「あああー」と過度なまでに何度か仰け反っていた。 まさにイッてる、って感じだ。 俺の時にそんな仕草は見た事ないぞ・・・。 犬井の野郎。 ふてえ野郎だ。
まあ、いい。 それらと引き換えても俺は貴重なお宝をゲットした。 朝まで徹夜でじっくり一本一本見た。 特にうちの女子社員のは。 何回抜いた事か・・・。 大人になってこんなに抜いたのは初めてだ。 翌日は徹夜でやつれていたにも関わらず、会社で女子社員どもを見る度に、DVDを思い出し、辛抱たまらなくなり、何度トイレに駆け込んだ事か・・・。
数日後、会社に手紙が届いた。 犬井からだった。 会社を突然辞めた謝罪と、私物は破棄して欲しいという内容だった。
無断欠勤でトンズラ決めこむ輩はどこにでもいる。 ただ俺が一つ疑問なのは、あのDVDコレクションをなぜ持って行かなかったかって事だ。 車で逃げたんだから、さほど荷物になるわけでもないし。 いや・・・犬井にとってはあんなものは重要ではないのかもしれん。 大事にしなくても、次から次へ生産できるんだからな。
今思うと、犬井がもし、ただ単に用事で部屋を空けていただけだとしたら、戻ってきたら大変なことになっていたと冷や汗ものだ。 いや、違う。 きっと犬井は失踪する時も、俺が部屋を探しに来てDVDを手にする事を予測していたかもしれん。 ・・・と都合良く思うようにしてDVDは俺が預かっている。
会社で女子社員どもに何を言われても腹も立たなくなった。 それどころか、(裏ではこいつは・・・)と心で思い、余裕の態度をとれるようになったよ。
派遣の美代子ちゃん、中国からの留学生アルバイト張さんは、犬井DVDのことを匂わすと簡単にやらせてくれた。 この調子でいつかこ生意気な真奈美を軍門に下したいな。 本当に犬井は神様だったのかもしれない。
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