牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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17-03-24 03:57
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自分のマンションの真下に、 貧乏しとる中年の60代前後のおっさんが単身で住んでいる。
午前中、荷物を預かってくれてた事もあり、 おっさんをたずねると、
「ワシ、この生活抜け出せそうや」
またよからぬ事やっとんなと思いつつ、 台所で茶を飲みつつ話を聞くと、話は大体こんな感じだった。
「一週間前に暇潰し思て、出会い系に登録してみた」
「そしたらすぐ100通とか届くんよ、これとかこれとか、 この娘なんか『処女でいるのが恥ずかしい、 50万で私を抱いて』言うねん。
写真これ(おもくそギャル。
キャプションに「真美富豪の娘」と)。
この人なんかな、離婚して慰謝料330万もろてんけど、 人生つまらんから思いきって使いたい言うてな。
50歳や言うねんけど、この写真、どう見ても20代にしか見えんやろ?」
「ワシも『毎日でもエッチいけます』とか書いてね、 まあそんな毎日は無理やけど、腰も痛いしな~わはは、 でも今でもいくらでもいけるよワシ」
「でな、この人とずっとやり取りしててな、 この写真(叶姉妹の妹みたいなの)。
他のは裸の写真やらオナニーしてるのやら送ってくる、凄いねん。 でもこの人はちゃうねん。 貿易会社に勤めてるんやけど、 ホストクラブやらに貢ぐのに疲れた言うてんねん。 それやったら信用置ける人にてな、 ワシの事気に入ってくれててな、 こういう事情やからワシも信用できんねん」
「付き合ってくれるなら1000万くれる言うねん」
「もう夜も眠れない言うて、夜中もメールくるし、 仕事の合間にしょっちゅうメールくんねん。 これ来た時間を書き留めたやつ。 もうこの1週間で200通もきてんねん。真剣やねん」
「さっきの330万かて、中途半端な額やろ。ウソじゃ書けへん」
「この前会おういう事になって駅で待ち合わせしてんけど、改札がいっぱいあってな。 連絡しようとサイトに問い合わせるんやけど、返事が来ん。 そういうメールを取り次がんのよ。 ワシがよう使うと思って、サイト側が邪魔しよんねん。 せやから何度も文句言ってやった。 それを証拠に次にその子からメール来ても、ワシの送ったのと全然噛み合わん」
「前なんか、他の子でワシのためにサイト料20万を振り込んだけど、それはダメ言うて送り返したてサイトから連絡が来てん。 『何勝手な事しくさんねん!訴えるぞ』て送り返したわ」
「もう、1週間やけど、これで10万は使たかな~、 ほんまタバコも買えへん」
「今日3時にまた約束したんよ。会社の仕事早く終わらすって。 車がいる思て昨日日産行って車も見積もりとった。 え、金?その人の名義で買うから。車?フェアレディZ。車いるやろ?」
「ワシが何て名乗ってるか?いや、『名無し』やで」
「仮に会えたとしてその人が『やっぱびた一文払わん』言うたらどうすんの?」
と聞いたら
「それはない!」
の一言やった。
「サイトでかかった金も会ったら払ってくれるって言うねんもん」
もちろん、俺は午前中長い時間かけて、罵詈雑言も含めあらゆる言葉を費やし、説得を繰り返したが、これまでも知り合い友人等々から寸借サギ、サイフ持ち逃げなどなど散々騙されても、騙されても、今回はガチで信じるとの事だ。
帰り際の彼の一言。
「もし会えたらお祝いしよな、旨いもん食いに行こな、きっとワシエエ顔しとるわ」
今度こそ、地獄行き超特急が走り始めたかもしらん。
もうこうなったら誰にもこのおじさんを止められない。
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