この話は続きです。はじめから読まれる方は「美優夫人の飼い犬」へ
ブリッ!
恥ずかしげもなく女が放屁を浴びせた。
およそ,羞恥心と言うものが欠落しているのかも知れない。
尻に敷いた犬がのた打つのを笑いながらペニスを引っ張る手に力を込めた。
「まったく大袈裟な犬ねぇ。ヒリ出して喰わせてやろうかしら‥ほほほ‥」
笑い方さえも狂気じみていた。
「ママ‥」
少しでも気を逸らしてあげようと呼びかけると,ふと我に返り時計を見ると
「嫌だわ‥今日‥坊やごめんね。ママお仕事で出掛けないといけないの。ママが帰るまでそっちのワンちゃんと寂しかったら遊んでなさい。さっきのおじさんに言っとくから。ほら!お前は下に帰るのよ!」
仰向けに寝ている犬のリードを引っ張り,慌てて出て行ったのでした。
しばらくするとインターホンが鳴った。
「はい。」
「お坊ちゃま‥まだそちらで遊んでいますか?」
「外に行きたいんだけど‥」
「それは奥さまのお許しを得ないと。」
「そうですよね。昨日の部屋は一人で行ったら叱られちゃうかな‥。」
「奥さまの部屋ですので‥」
「他にどこかある?」
「そちらに居ますか?」
「うん。その方が良いんでしょ?何時頃に帰ってくるのかな‥?」
「たぶん遅いです。」
時計を見るとまだ11時前だった。
「そう。お腹減っちゃったんだけど‥」
甘えるなよ。
と脅かされるかと思ったのですが‥
「何がよろしいですか?」
チラッと犬の方を見て,
「お腹減ったからサンドイッチでもおにぎりでもたくさん食べたいんだけど。」
「かしこまりました。」
インターホンを切って,足下にうずくまる犬を見た。
「名前は?」
当惑した様な顔をしていた。
「しゃべれないの?」
先ほどの変態淫語を喚いていたのに‥
「名前はありません‥」
「なぜ?」
話し掛けていた時に,天井のスピーカーから男の声が響いた。
「お坊ちゃま‥犬に話し掛けるのはお止めください。奥さまにご報告しなければならなくなります。」
「だって,遊んでて良いって‥」
「意味が違います。お坊ちゃまもお分かりのはずです。」
この部屋もモニターで監視されているのだと気付いた。
足下の犬が足の指を舐めている‥
「気にしないでください。」
と言っている気がしていた。
せっかく多めに取ってあげた昼飯も犬は口にしようとしなかった。
試しに床に置いてあげるとカメラを意識しながら食べてくれた。
つづく「美優夫人の飼い犬17」へ
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