牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
-
ホームページ
戻る
25-11-05 08:57
|
新型ウィルスの影響で、あっけなく夫婦そろって無職になってしまった。ハローワークに行ったり、補助金のことを調べたりしたけど、正直お先真っ暗な気持ちになっていた。 そんな中でも、嫁の純子は、 『焦っても仕方ないよ。少しは貯金もあるし、節約しながら仕事探せば良いよ』 と、笑顔で言ってくれる。僕がすぐに悲観的になってしまう性格なのとは逆で、純子はいつも前向きだ。無駄に明るい。僕は、それに助けられた気持ちになりながらも、どうしようと焦っていた。 そんな中、高校からの親友の健吾が、食材とかをいっぱい持って遊びに来た。 「俺は、ずっと自宅で一人で仕事してるから、まず感染してない。安心してくれよ」 そんなことを言いながら、抱えきれないほどの食材を持ってきた健吾。 『こんなに良いの? なんか、悪いな……。じゃあ、美味しいご飯作るから、一緒に食べようよ!』 純子は、本当に嬉しそうだ。最近は、節約でろくなものを食べていなかったので、本当にありがたいと思った。 健吾は、正直なにをやっているのかいまいちわからない。投資とか、そんなことをやっているらしいとしか知らない。とにかく金回りは良く、稼いでいるんだろうなと思っていた。でも、物欲があまりないのか、服もユニクロだし、時計もしなければ車も乗っていない。唯一、バイクが趣味のようで、それにはおかしなくらいお金を使っているらしい。 「でも、健吾も大変なんじゃないの? 株とかよくわかんないけど、みんな損してるって聞くけど」 僕がそんな質問をすると、 「まぁな。資産、半分くらいになっちゃったよ」 と、妙に明るく言う。純子が驚いて、 『半分になっちゃったの!? 大変じゃない。それなのに、こんなに買ってきてもらって、良いの?』 と、聞く。でも、その後彼が話した内容は、衝撃的なものだった。資産は、半分になっても10億ほどある。それに、減ったと言ってもほとんどが株価が下がった影響で、そのうち戻るんじゃない? と、危機感もないみたいだ。 「最近は、FXとか先物はやってないから、損してもしれてるんだよね。それよりも、お前の方が大変だろ? 仕事、なかなか見つからないんじゃないの?」 健吾は、逆に僕を心配してくれる。確かに、言われるとおりだ。 「まぁ、そのうち収まるでしょ。それよりも、肉食べようぜ!」 健吾は、明るく言う。僕は、少し不安が薄くなったなと感じながら、楽しく食事を始めた。 『健吾君って、どうして彼女いないの?』 純子が、そんな質問をする。確かに、最近の彼は、彼女がいないみたいだ。学生の頃は彼女もいたし、それなりにモテていたと思う。僕も不思議に思って、どうして? と、聞いた。 「なんか、面倒なんだよね」 健吾は、そんな風に言う。それとともに、先の展開が読めてしまうからだとも言う。僕は、欲求不満になったりしないの? と、質問する。 「まぁ、それは少しあるかもね。風俗とか行く気にならないし、ナンパも苦手だし……。もう、2年くらいしてないかも」 健吾は、そんな風に答えた。 『2年も? いつも、どうしてるの?』 純子が、そんな質問をする。ワインで結構酔っていて、下ネタに抵抗がなくなっているみたいだ。いつもは結構恥ずかしがりで、下ネタに対しては黙って頬を赤くしている感じなのに、今日はノリノリに見える。 「まぁ、その辺は適当にね。あっ、そうだ、純子ちゃんが手伝ってよ。一回5万くらい払うよ」 健吾は、冗談を言う口調で言った。でも、純子は明らかな冗談口調の彼に、 『……うん。手とかで良いの?』 と、真剣に答えた。 「い、いや、ゴメン、冗談だよ、申し訳ない」 健吾は、狼狽しながら謝る。本当に反省している感じの謝り方だ。僕は、冗談に決まってるじゃんと純子に言った。 『そ、そうなんだ……。でも、助かるなって思ったから……。ゴメンね、真に受けちゃって』 純子は、珍しく落胆した顔で言う。 「……そんなに苦しいの?」 健吾は、心配そうに聞く。 『まだしばらくは平気だと思うけど……。家賃が痛いなって……』 純子は、いつもの笑顔が消えている。 「だったら、ウチに引っ越して来なよ。部屋なんて余ってるし、家賃浮くじゃん」 健吾は、そんな風に言う。彼の家は、少し郊外の一軒家だ。てっきり借家だと思っていたけど、彼の所有らしい。一度遊びに行ったことがあるが、5~6室ある大きな家だった記憶がある。 『良いの? 本当に?』 純子は、笑顔が戻っている。僕は、これも冗談なのかな? と、思ったが、健吾は本気で言ってるみたいだった。 そして、あっという間に引っ越しは終わった。管理会社との原状回復のことも健吾が交渉してくれて、保証金が全額戻ってきた。日常損耗のガイドラインの事なんて、僕は知らなかったので本当に助かった。世の中、知識がないと損をするんだなと思い知った。 「いや、それが普通だから。別に、俺はなにもしてないよ」 健吾はそう言って、お礼も受け取らなかった。そして、3人での共同生活が始まった。彼も在宅で仕事をしているし、僕は職がないので家にいることが多い。でも、3人での生活はとても楽しいものだった。 食事は楽しいし、一緒にゲームをしたり映画を見たりしていると、ウィルス騒動なんて別の世界のことのように感じてしまう。お金をいっさい入れていない僕は、引け目は感じてしまう。でも、 「いや、家事とかしてくれてるでしょ。めちゃくちゃありがたいよ。ご飯もめちゃくちゃ美味いしさ。だから、お金のことは気にしなくて良いよ」 健吾は、笑顔で言ってくれる。僕は、ただ感謝することしか出来なかった。 そして、共同生活は続いていく。最初は遠慮していた純子とのセックスも、頻度は少ないもののするようになっていた。 『ダメ、もっとゆっくり……声出ちゃう』 純子は、苦しげな声で言う。僕は、慌てて動きを緩めた。健吾に気を遣いながらのセックス……。でも、立場を考えると仕方ないと思う。僕は、腰の動きをゆっくりしながら、純子にキスをした。キスをしたまま腰を振ると、一気に射精感が高まる。そして、そのままあっけなく射精をした。 『ゴメンね……。声我慢出来なくなっちゃうから……』 純子は、甘えたような声で言いながら僕に抱きついてくる。僕は、今だ無職の自分にふがいなさを感じながらも、彼女を抱きしめた。 『前に言ってた健吾君のオナニーを手伝うヤツ、やってみようと思うんだ。でも、お金はもらったりはしないよ。いつもお世話になってるでしょ? だから……』 純子は、思い詰めたように言う。僕は、すぐに反対しようとした。でも、自分の置かれた状況を考えると、なにも言えなくなってしまった……。 「えっ!? な、なに言ってんの。そんなのダメだって」 健吾は、驚いたように言う。でも、純子は引き下がらない。 「う、うん。ありがとう。そっか、そんなに負い目に思ってたんだ……。じゃあ、手で……してもらっても良いかな? でも、お前はイヤじゃないの?」 健吾は、動揺している感じで僕にも聞いてきた。僕は、言いたいことが頭の中でグルグル回ったが、結局なにも言えなかった。 『じゃあ、早速する? ここで良いのかな?』 純子は、緊張した声で言う。健吾は、僕と純子を交互に見ながら、黙ってうなずいた。 『じゃあ、トシくん部屋に戻っててくれる?』 純子は、僕のことを見ずに言う。僕は、黙ってうなずきながらリビングを出た。 そして、部屋に戻ってソファに座る。でも、まったく落ち着かない。僕がふがいないばかりに……。焦燥感と絶望感で立ったり座ったりしてしまう。 僕は、泣きそうな気持ちのまま落ち着かない時間を過ごしていたが、意外に早く純子は戻ってきた。 『終わったよ』 純子は、笑顔で言ってきた。僕は、なにを言って良いのかわからず、ゴメンと謝った。 『謝らなくても良いよ。これくらいはしないと申し訳ないもん』 純子は、笑顔のままで言う。僕は、本当にイヤじゃないの? と、聞いた。でも、聞いておきながら、イヤに決まってるよなと気が付いた。それでも純子は、 『全然イヤじゃないよ! 健吾さん、すごくシャイで恥ずかしがってて、なんか可愛かったよ』 純子は、そんな風に言う。僕は、もう一度ゴメンと謝った。 その夜、僕はなかなか寝付かれなかった。純子が、健吾のオナニーを手伝った……。仕方ない状況かもしれないけど、それでも嫉妬というか、胸が痛くなってしまう。どんな風にしたんだろうか? 手でしただけ? もしかして、それ以上? モヤモヤして眠れない……。 そして、週に一回程度で純子は健吾のオナニーを手伝うようになった。不思議なもので、あんなに申し訳ないと思っていた気持ちも薄くなり、純子も抵抗がなくなってしまった感じになっていた。 そして、健吾も申し訳なさそうな感じは多少残りながらも、気軽に頼んでくるようになっていた。そんなある日、またいつものように夕食の終わりがけ、 「純子ちゃん、今日もお願い出来るかな?」 と、健吾が軽いノリで言ってきた。 『うん。良いよ。じゃあ、お風呂から出たら、リビングに来てね』 純子も、ごく軽いノリで承諾をする。もう、僕の顔色をうかがうこともなくなってしまった。 そして、それぞれに風呂に入り、純子はリビングに移動する。僕は、いつもなら自分たちの部屋に戻るのだけど、今日は一緒について行った。不思議そうな顔で僕を見ている純子。
|
Copyright © ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)All rights reserved.
コメント