牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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25-11-05 11:21
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「フフ、ありがとう。直道さんだけですよ、そんなこと言ってくれるの」 妻の涼子が、嬉しそうに笑いながら俺の友人の直道に言った。今日は、うちに直道が遊びに来ている。直道は、大学の時の友人で、28歳になって社会人になった今も、こうやってたまに遊んでいる。 妻の涼子は、24歳でけっこう年下だ。近所のカフェで働いていて、一目惚れした俺が頑張ってアタックした末に、交際に至った。 付き合い出してから半年で結婚し、すでに半年が経った。俺が一目惚れしたくらいなので、ルックスは申し分ないし俺好みだ。 パッチリした二重まぶたに、ショートカットの髪。今どきの若い女性にしては珍しく、真っ黒でどこかボーイッシュな感じも合った。 160センチ弱で、痩せた身体。胸も小ぶりだが、手足が長い。なによりも、真っ白な肌が彼女を輝かせているように感じる。 これだけ可愛いのに、男性とちゃんと交際したことはなく、俺が初めての彼氏だった。付き合ったことがなかった理由は、告白されたことがなかったからだそうだ。 たぶん、可愛すぎて男性の方も腰が引けていたのかもしれない。なんにせよ、とてもラッキーだったなと感じている。 「いや、なんでそうなるの? 涼子ちゃんが可愛くなかったら、誰が可愛いって話だし」 直道が、あきれたように言う。涼子は、控えめを通り越えて、自己評価が低い……低すぎる。自分が可愛いと思っていないようだ。 「そんなのいっぱいいるよ! 私なんて、どこにでもいるもん」 耳まで赤くしながら照れる涼子……。やっぱり、本心からそう思っているみたいだ。 「いないって。いたら、速攻アタックしてくるよ」 直道は、笑いながら言った。すると、その言葉にすらさらに顔を赤くする涼子……。 「直道さんは、どうして彼女作らないんですか?」 涼子は、話を直道に切り替えた。確かに、ここ2年くらい彼女がいないみたいだ。 「作らないんじゃなくて、出来ないの。ふられてばっかりだよ」 直道がおどけて言う。そんな話も、初めて聞いた。直道は、ルックスも性格も良い方だ。会話も面白い。モテない要素はないと思う。 「そうなんですか!? 意外です。どうしてだろう? 直道さんが好きになってくれたら、喜んで付き合うと思うけど……」 涼子は、直道を褒める。自分のことをよく褒めてくれるので、社交辞令として言っている……そんな感じではない。 涼子は、本心から直道を良い男だと思っているようだ。 「マジで、じゃあ、涼子ちゃん好きだから付き合ってよ」 直道は、珍しくふざけている。普段は、あまり悪ふざけは言わない感じだ。 「えっ? 本当に好きですか?」 涼子は、流さずに真面目な顔で聞いた。俺は、涼子の意外な態度にドキッとしている。 「う、うん。涼子ちゃんがフリーだったら、ほっておかないよ」 直道は、予想外のリアクションだったせいか動揺している。 「嬉しいな。そんな風に言ってくれて」 涼子は、本当に嬉しそうだ。この態度が、魔性の女に見えてしまってドキドキする。 「マジで可愛いもん。涼子ちゃんの友達で、フリーの子とかいないの?」 直道は、話を変えた。 「いますよ! 紹介しましょうか?」 涼子は、あっさりとそんなことを言う。確かに、涼子は友人が多い。年齢的には、まだ未婚の友達も多いはずだ。 「マジで? 紹介してもらえたら嬉しいよ」 そんな会話を続ける二人。なんとなく疎外感を感じてしまった。 直道が帰ると、 「フフ、直道さんって褒めるの上手だね。優子紹介しようかなって思ってるよ」 と言ってきた。優子ちゃんは、何回か会ったことがある。涼子を迎えに行ったときに挨拶をしたとか、その程度の面識だが、ちゃんと覚えている。 確か、髪が長くておとなしそうな子だった。涼子とは違って、キリッとした美人系の女性だったと思う。 俺は、いいねと言った。でも、それこそ優子ちゃんに彼氏がいないことにも違和感を感じた。それを聞くと、 「うん。ちょっと前に別れたんだ。彼氏に浮気されて。直道さんだったら、浮気とかしなさそうだし」 と答えた。確かに、直道は真面目だ。浮気をするタイプとは思えない。 その夜、涼子が抱きついてキスをしてきた。珍しい。いつも、俺の方からモーションをかけて始まることがほとんどだ。 「ケンゾー、私のこと可愛いって思ってる?」 涼子が、はにかみながら聞いてくる。俺は、もちろんだと即答した。 「あんまり言ってくれないよね……」 涼子は、少し寂しそうだ。俺は、慌てて可愛いよと言った。ニッコリと嬉しそうに笑う涼子……。俺は、愛おしい気持ちでキスをした。 涼子とのセックスは、少しだけ不満というか、もっと声を出したりして欲しいと思っている。恥ずかしがりなので仕方ないが、それにしてももっとリアクションが欲しいなと思ってしまう。 そして、2週間ほど経過して、直道に優子ちゃんを紹介する日が来た。俺はお留守番だ。帰宅した涼子に話を聞くと、良い感じだったそうだ。 1時間ほどで涼子が席を立ち、後は二人に任せたと言うことだったみたいだ。 翌日、直道から連絡があった。お礼を言われた。優子ちゃんが想像以上に美人だったので、かなりテンションが上がったと言っていた。 ただ、1ヶ月ほど経って、結局上手く行かなかったと涼子から聞いた。どうやら、優子ちゃんの方がちょっと違うと感じたそうだ。 「なんか、悪いことしちゃったな……。優子、どっちかというとクズ男が好きなだよね。直道さん、優しすぎるから」 涼子は、そんな説明をした。確かに、直道は真面目だ。スペックも高いと思うが、それが優子ちゃんにはハマらなかったみたいだ。 俺は、なんとなく責任を感じてしまった。涼子も同じみたいだ。直道を食事に誘って家に招いた。 「大丈夫だって。全然平気だから」 直道の方が、そんな風に気を遣って言った。意外に元気そうで安心したが、少し元気がないように見える。 「チケット、無駄になっちゃったよ。せっかく買ったのに」 浦安のテーマパークのチケットを見せながら残念そうに言う彼。 「ごめんね~。優子、きっぱりした性格だから……」 涼子が謝ると、 「そうだ、二人で行って来なよ」 と、俺たちにチケットを譲ろうとし始めた。俺は、そんなのダメだと言った。そして、涼子と行ってきたら? と言ってしまった。 「え?」 涼子が驚いた顔を見せる。でも、直道は嬉しそうに、 「良いの!?」 と答えた。 「ケンゾー、本気で言ってる?」 涼子は、戸惑っている。俺は、イヤなの? と聞いた。自分でも、どうしてそんなことを言ったのかわからないが、直道に申し訳ないという気持ちからだと思う。 「イヤじゃないよ。むしろ、嬉しいというか……ケンゾーも来たら? チケット買えば良いだけでしょ?」 涼子は、そんなことを言う。でも、その日は仕事だ。 「そっか……どうする? 私なんかで良いの?」 涼子は、直道に恥ずかしそうに質問した。涼子は、まったく嫌がっていない。俺以外の男とのデートに、抵抗を感じていないように見える。 俺は、急にドキドキしてきた。なにか間違いが起きるのではないか? そんな不安がもたげる。 「良いに決まってるじゃん! メチャクチャ嬉しい!」 直道は、さっきまでの少し落ち込んだ感じは消えている。俺は、不安を感じながらも、元気になった直道を見てホッとしていた。 直道が帰った後、 「ねぇ、本当に良いの? イヤじゃない?」 と、涼子がさっきと打って変わって心配そうに聞いてくる。俺は、イヤではないと伝えた。そして、涼子も無理をしていないかと質問した。 優子ちゃんのことがあったので、申し訳ない気持ちでそう言っているのではないか? そんな心配をしている。 「イヤじゃないよ。だって、久しぶりだし。ゴメンね、ケンゾー仕事なのに」 涼子は、あっけらかんと答えた。他の男とデートをすると言うことに、罪悪感は感じていないみたいだ。俺は、楽しんでくればいいと言った。でも、やっぱり少しは不安だ……。 そして、あっという間にその日が来た。俺が会社へ行く準備をいていると、涼子はすでに準備を終えて出かけるところだった。 「ゴメンね、行ってくるね」 そんな風に言ってきた涼子は、とても可愛らしい感じだった。普段から可愛いのは間違いないが、メイクのせいかいつもよりも目がパッチリしている。 服も、可愛らしいミニスカートに丈が少し短い薄手のニットだ。 いつもよりも若い感じで、見た目は女子大生みたいだ。俺は、気をつけてと言うことと、楽しんできてと言った。 「ありがとう! お土産買ってくるね!」 笑顔で出ていった涼子……俺は、少しモヤモヤしながらも準備を続けた。 仕事を始めると、ずっとモヤモヤしていた。今頃何をしているのだろう? そんなことが気になってしまう。気が乗らないまま時間ばかりが過ぎていく。そして、いつもより早めに帰宅した。当然、まだ早い時間なので涼子はいない。 今日は、直道と夕食も食べてくる予定だ。俺は、とりあえず冷凍チャーハンを解凍して食事の準備をした。何時まで遊んでくるんだろう? たぶん、21時とか22時まではテーマパークは開いているはずだ。 食事を終えて21時を過ぎた。自分の妻が、こんな時間まで他の男と遊んでいる……胸がモヤモヤしてしまう。 そして、22時を過ぎた。さすがに連絡をしてみようと思ったとき、玄関で物音がした。 「ただいま~」 明るい涼子の声に、ホッとした。 「ゴメンね、遅くなっちゃった。車混むんだね」 拍子抜けするほど普通に入ってきた彼女。当然だが、出て行ったときと同じ姿だ。 「お腹は? ちゃんと食べた?」 涼子は、心配そうに言ってくる。でも、必要以上に丁寧というか、気を使っている感じがする。もしかして、何かあったのではないかと心配になってしまう。 俺は、お腹は空いていないと答えて、今日はどうだったの? と聞いた。 「え? うん。楽しかったよ。ゴメンね、こんな時間まで」 涼子は申し訳なさそうに言う。一日の話を聞くと、本当にデートみたいな一日だったようだ。 俺は、話を聞いているうちに嫉妬心が膨れ上がり、涼子を押し倒すようにしてキスをした。 「アンッ、どうしたの? もしかして、ヤキモチ焼いてるの?」 涼子は、妙に嬉しそうだ。俺は、なんとなく認めるのが悔しいと思いながらも、そうだと告げた。 「まだ、そんな気持ち残ってたんだね。嬉しい。もう、飽きちゃったかなって思ってた」 涼子は、そんなことを言いながらキスをしてくれた。そのまま、お互いの服を脱がせながらキスを続ける。 「なんか、いつもより固くなってる。嫉妬するとこうなるの?」
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